サンフランシスコ条約11条の訳語-サンフランシスコ条約11条の目的2005年10月05日

 サンフランシスコ条約11条のを理解するためには、サンフランシスコ条約11条で述べている「極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷の裁判」の具体的内容を知ることが必要であることを指摘しました。
 「極東国際軍事裁判所の裁判」の内容に立ち入る前に、サンフランシスコ条約11条の目的は何で有るのかを説明します。

 昭和26年の平和条約国会で、西村熊雄条約局長はサンフランシスコ条約11条の目的を以下のように説明をしています。

 『平和条約に戦犯に関する条項が入りません場合には、当然各交戦国の軍事裁判所の下した判決は将来に対して効力を失う…というのが国際法の原則でございます。併しこの国際法の原則は、平和条約に特別の規定がある場合にはこの限りにあらずということでございます。従つてこの第十一条によつて、すでに連合国によつてなされた裁判を日本は承認するということが特に言われておる理田はそこにあるわけでございます。』

 つまり、サンフランシスコ条約11条の目的は、極東軍事裁判所などで有罪になった者の刑の執行を、日本が連合国から引き継いで実行することに有ったわけです。

 では、受刑者に対して刑の執行を求めただけなのかというと、そういうわけでもありません。もし、裁判を受け入れないで、刑の執行のみを行ったら、犯罪行為になってしまうでしょう。日本の正当な裁判として、極東軍事裁判を受諾したからこそ、刑を執行することができたのです。日本政府は、サンフランシスコ条約11条で日本が受諾したものとは、裁判所の設立及び審理、法律、起訴状の訴因についての認定、それから判定、及び刑の宣言、このすべてを包含していると、説明しています。
 即ち、日本がサンフランシスコ条約で受諾したものは、極東軍事裁判所の正当性、審理・法理の正当性、これらすべてのものなのです。もし、そうでなかったならば、刑の執行は違法行為になってしまいます。このため、政府の説明は常に一貫しています。

 学者や評論家には、極東軍事裁判所の設立や法理が不当だとか正当だとか、いろいろと議論が有ります。刑の執行の当事者でないから、なんとでも言えるわけです。しかし、刑を執行した日本政府が、極東軍事裁判所などの裁判を不当とすることは有り得ないのです。

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