木村汎著『日露国境交渉史』について ― 2006年02月07日
中公新書から出版されていた同書には、ちょっと首を傾げたくなる記述が多々見受けられます。思いつくまま、幾つかの点を指摘しました。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2005/08/02/39396
このうちの1つは、サンクト・ペテルブルグ条約のタイトルの件です。
昨年10月、角川選書から改訂新版が出版されました。
角川選書の改訂新版では、この部分は欠落しています。誤りを削除することは当然ですが、何の断り書きもないのはどうしたことでしょう。旧版を真実と思い込んで学習した一般の人は、誤りを気づくことなしに、誤った北方領土返還要求にこだわり続ける恐れがあります。
まともな学者ならば、誤りが分かったならば、こっそり削除するのではなく、きちんと説明すべきです。
インチキペテン師はウソがばれたときには、こっそり削除するものなので、まあ、そういう類の図書であるならば、致し方ないのですが。(そういう本には思えないのです。)
誤りではないが、多くの読者に誤解を与えると思われる表現の箇所は、そのままです。
海外から強い批判を浴びている、扶桑社の歴史教科書は、言葉遣いによって、日本が正しかったのだと、言いくるめようとしている箇所が、多々見受けられます。右翼的歴史学者は、読者に事実を伝えることではなく、わざと誤解を与え、自分の考えを押し付けようとする傾向が強いのはなぜでしょう。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2005/08/02/39396
このうちの1つは、サンクト・ペテルブルグ条約のタイトルの件です。
(中公新書P66の記述)
サンクト・ペテルブルグ条約のタイトル自体「樺太千島交換条約」と略称されて、日露双方によって不思議と思われなかった事実は、どう説明したらよいのか。すなわち、これは、文字通り樺太における日本の権益を放棄することの交換において日本が新しく獲得した地域が千島であることを示している。
(解説)
サンクト・ペテルブルグ条約はフランス語が正文であり、日本語文は日本国内の私訳にすぎない。日本語文に便宜上どのようなタイトルがついたとしても、条約とは関係ないことであり、ロシアの預かり知らないことである。木村汎氏は「日露双方によって不思議と思われなかった」と書いているが、ロシアが日本語文を確認したと言う事実は知られていない。実際、条約本文には「千島」なる文字は存在しないので、「樺太千島交換条約」の略称は、条約交渉とは関係ないところで付けられたことが分る。なお、フランス語正文には条約のタイトルは無かったと思う。(確認していないので誤りかも知れない。)
ところで、サンクト・ペテルブルグ条約で日本が放棄した樺太とは、樺太すべてではないので、「獲得した千島は千島のすべてである」との主張が、全く成立し得ないことは明らかでしょう。
昨年10月、角川選書から改訂新版が出版されました。
角川選書の改訂新版では、この部分は欠落しています。誤りを削除することは当然ですが、何の断り書きもないのはどうしたことでしょう。旧版を真実と思い込んで学習した一般の人は、誤りを気づくことなしに、誤った北方領土返還要求にこだわり続ける恐れがあります。
まともな学者ならば、誤りが分かったならば、こっそり削除するのではなく、きちんと説明すべきです。
インチキペテン師はウソがばれたときには、こっそり削除するものなので、まあ、そういう類の図書であるならば、致し方ないのですが。(そういう本には思えないのです。)
誤りではないが、多くの読者に誤解を与えると思われる表現の箇所は、そのままです。
海外から強い批判を浴びている、扶桑社の歴史教科書は、言葉遣いによって、日本が正しかったのだと、言いくるめようとしている箇所が、多々見受けられます。右翼的歴史学者は、読者に事実を伝えることではなく、わざと誤解を与え、自分の考えを押し付けようとする傾向が強いのはなぜでしょう。
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