木村汎/著『日露国境交渉史』について ― 2006年02月12日
今回も 木村汎/著『日露国境交渉史』について書きます。
『ウラジヴォストークは、東方を征服せよ』の意味であるとの説明がなされることがあります。『日露国境交渉史(新版)』P75には次の説明があります。
ロシア政治史の専門家だけ有って、的確な説明です。ウラジの意味も、征服ではなくて、支配のほうが、より適切な訳語です。いい加減なロシア評論家の説明とは、わけが違います。
木村汎/著『日露国境交渉史』は、一般向けに書かれた解説書ですが、知識豊富な、この道の第一人者の筆になるものなので、内容の正確さと、レベルの高さは、四島返還論を主張する北方領土解説本の中では、群を抜いています。
二島返還論につながりかねない事実に関係する部分だけが、おかしな記述になります。著者は、よほど、二島返還論が嫌いなようです。
『ウラジヴォストークは、東方を征服せよ』の意味であるとの説明がなされることがあります。『日露国境交渉史(新版)』P75には次の説明があります。
ムラヴィヨフは、一八六〇年の北京条約によって清国から割譲された海参威をウラジヴォストークと名づけた。「東方(ヴォストーク)」を「支配せよ(ウラジ)」の意味である。これらの行動は、ロシアの一方的な拡張欲をしめすかのように解釈されがちである。だがすくなくとも部分的には、当時の北東アジアにおける米英の進出にたいするロシアの反応であった。防衛の要素もふくまれる攻撃、あるいは防衛にかこつけてはじめるものの結果としては当初の目的を逸脱して拡大に終わる。このような意味で、形容矛盾の表現のように聞こえるかもしれないが、「防衛的膨張主義」と名づけうる行動であった。
ロシア政治史の専門家だけ有って、的確な説明です。ウラジの意味も、征服ではなくて、支配のほうが、より適切な訳語です。いい加減なロシア評論家の説明とは、わけが違います。
木村汎/著『日露国境交渉史』は、一般向けに書かれた解説書ですが、知識豊富な、この道の第一人者の筆になるものなので、内容の正確さと、レベルの高さは、四島返還論を主張する北方領土解説本の中では、群を抜いています。
二島返還論につながりかねない事実に関係する部分だけが、おかしな記述になります。著者は、よほど、二島返還論が嫌いなようです。