北方領土-二島分離返還論2006年06月29日

 今日の朝日新聞で根室市長は二島分離返還を主張しています。27日の根室市議会でも、同様な答弁をしたそうです。28日のムネオ日記にもこの問題が取り上げられています。これに対して、千島・歯舞居住者連盟は「四島一括返還は曲げられない」との立場のようです。

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000606280004
http://www.muneo.gr.jp/html/diary200606.html

 北方領土問題では、地元漁民と旧居住者・返還運動関係者の間で、意見の違いが有って、前者は二島分離返還論、後者は四島一括返還論と大きく括ることができます。(かなり、荒っぽいくくりです。)
 歯舞・色丹の二島は陸地の面積は全体の数パーセントに過ぎないけれど、200海里経済水域では半分弱に達するとの試算もあります。特に、二島周辺海域は優良な漁場なので、漁獲から見たら、二島こそが重要になります。しかし、二島返還論は、現実性がある方針なので、無意味な返還運動で国の予算にぶら下がっている人たちには、絶対に受け入れられないでしょう。
 漁業関係者と返還運動関係者の間には、利害に、明白な相違があります。

 ところで、四島一括返還論では、「国後・択捉・色丹はサンフランシスコ条約で日本が放棄した千島列島に含まれない」と主張します。四島一括返還論を主張している千島・歯舞居住者連盟の名称の「千島」とは、国後・択捉・色丹のことだそうです。
 何を考えているのだか???

注)北方領土四島一括返還運動の中心は、千島・歯舞居住者連盟のほかに、社団法人 北方領土復帰期成同盟があります。こちらは、運動に国の予算が投入されているにもかかわらず、不適切な経理が行われ、使途不明金が発生したことが知られています。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b163054.htm
 何をやってんだか???

コメント

_ shan ― 2006年06月29日 13時07分49秒

こんにちは、新着一覧をみてやってきました。

使途不明金、流用、横領と言った類は色んな団体から出るわ出るわですね。
本題の二島分離返還論は、危険がいっぱいでしょう。
二島返還しました、これで日ロ間には領土問題は存在しませんと
なるのは見え見えでしょう。
今でさえ領土問題は無いとも言っている様ですし。
魚釣り島の問題や尖閣諸島の問題もありますし、日本はただただ領土を
減らしていく運命でしょう、今の政治力では。

_ cccpcamera ― 2006年06月30日 16時51分02秒

shanさま。コメントありがとうございます。

 四島返還運動には疑問を持っています。
 外交交渉では、片方の意見が100%採用され、もう片方の意見が0%と言うことは、戦争以外にはありえないことです。日本政府は四島返還を主張しているので、4島が100%になってしまい、普通の外交交渉では四島返還は有りえないことになります。もし、4島が譲れない最小限であるならば、全千島返還ぐらいのことを主張しておかないと、無理でしょう。
 一方、ソ連/ロシアは「解決済み」と言うことが有ります。本音が二島返還ならば、交渉の最初は、そのぐらい言っておかないと、解決は不可能になります。このため、「解決済み」の言葉には、二島返還のシグナルの場合があります。

 外交交渉をつぶしたいときは、絶対に通らない対案を出して、それに固執します。日本の四島一括返還論は、交渉をつぶして、1mmも返還されない状況を、永続させる方法に思えます。実際、戦後60年、日ソ国交回復からも50年たっていますが、領土は1mmも還っていません。
 もし、現状を打開して、少しでも日本の利益を図ろうとするならば、四島返還運動は見直す必要があります。根室市長の言うように二島先行返還にするのか、あくまで四島返還にするのか、それとも中間を取って3島返還を目標とするのか。あるいは、領土は棚上げしたまま、経済交流を活発化するのか。四島返還ならば、作戦を全面的に立て直す必要があります。

 それにしても、日ソ国交回復から50年、全く進展の無かった、四島一括返還運動に固執していては、今後50年たっても、1mmも還ってこないように思います。日本にとって、最悪な選択です。

なお、根室においては、古くから、二島返還で領土問題の解決とすべし、との考えがあります。
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/HoppouShiryou/19600302NEMURO.htm

_ 元道 ― 2007年01月08日 12時09分51秒

北方領土問題のほとんど全部が北方「領海」問題なんでしたよね。歯舞・色丹の領有によって北方領土海域のトラブルはほぼ無くなってしまうと聞いています。
また、旧島民の多くは歯舞・色丹出身、国後・択捉と北にいくほど少数になり、返還への意欲・帰島への意欲が弱いと言う調査結果がありました。
逆にロシア側現島民は択捉島に集中し、南にいくほど少なくなります。歯舞群島にいたってはほぼ無人と言ってもよいとか。
それならば十分妥協は可能だし、共存だって可能かもしれない。
国後漁協のお名前は何ておっしゃいましたっけ、ウクライナ人の組合長さんのように、日本との緊密化こそが島を豊かにする唯一の道だと考えている方は向こうにはたくさんおります。
モスクワや東京がグダグダ言ってこなければ、それなりに上手く決着がついていたのだろうと思うのですが・・・。

_ ポンコツ日本人 ― 2009年09月22日 19時55分15秒

はじめまして。日露戦争では日本軍が樺太全島を占領しました。しかし日露戦争が長期化した場合、巨大なロシアの国力を前に日本の敗戦は必至でした。日本海海戦という世界史的勝利を挙げたにもかかわらず、無賠償・樺太北半返還でポーツマス条約を締結し、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍んだのでした。日本の国力の長期低落が避けがたい現状では、時間が経つほど交渉は日本にとって不利になります。残念ながら四島返還は不可能です。二島返還で妥協し、代わりに残り二島周囲の漁業権、海底探査権を確保します。できれば残り二島の日ロ混住地化(共同統治)、残り二島のロシア人への日本国籍授与権等で交渉妥結を図ることが肝要であると考えます。我々は日本の経済力が事実上中国に凌駕されているという現実を客観的に直視し、日露戦争の勝利にもかかわらず隠忍自重し妥協した明治人の決断に思いをいたしたうえで対ロ戦略を構築しなければならないのです。衰退した日本に中国、北朝鮮、ロシアの三国全てを敵に回している余裕はないのです。四島一括返還を強要するにはロシアを鎧袖一触できるような強大な軍事力が不可欠ということは世界史の鉄則だということを平和ボケ民族は理解できないようですね。

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