北方領土問題-3島返還論2006年09月30日

 昨日、幾つかの新聞で、麻生外相が北方領土「3島」返還論に言及したこと、さらに、そのことが、ロシアのマスコミで大きく取り上げられたとのニュースが流れた。日本の外務省によると、三島返還案が省内で正式に検討されていることはない、とのことであるので、現実的政治課題として三島返還論が政治日程に上っているというわけではなさそうである。

 1956年の日ソ国交回復のとき、ソ連は歯舞・色丹両島を日本に引き渡すことに同意したが、日本は四島返還を主張して領土交渉は決裂、1mmも返還されることなく、国交回復から50年も経ってしまった。
 三島返還論は、2004年2月、岡山大学の吉田浩氏が、ネット上で主張していた。また、2005年12月に出版された、『北方領土問題 4でも0でも、2でもなく(岩下明裕/著 中公新書)』も、三島返還論を主張しており、日本でも、四島返還固執の態度から、現実的解決を模索する時期になりつつあったのだろう。

 今回、安倍総理が誕生したが、父親の安倍晋太郎氏は、晩年、北方領土問題解決に尽力している。幹事長時代の1990年には、病身をおして、モスクワを訪問しゴルバチョフと会談してたが、これが、結局最後の仕事となってしまった。 
 思い起こせは、幕末に日露和親条約を締結した川路謨聖は江戸城明け渡しのとき切腹、日露戦争を解決しポーツマス条約を締結した小村寿太郎は、帰国後、政治的に失脚状態、1956年に日ソ国交回復を果たした鳩山一郎は直後に内閣総辞職と、日露関係を発展させた人は、その後、不遇である。

 安倍政権は、日ロ関係を発展させる気が有るのだろうか。実現の可能性のない四島返還論に固執するのだろうか。今後に注目したい。

* * * * * *

<< 2006/09 >>
01 02
03 04 05 06 07 08 09
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

RSS