トムラウシ遭難考-レインウエアー2009年09月04日

日本旅行業協会は、加盟約1200社向けの「ツアー登山運行ガイドライン(指針)」を見直し、集合地で装備が不十分と分かったツアー客に対しては参加を断るように定めた。

 今年7月16日に、北海道大雪山系トムラウシ山で、ツアー登山パーティーが遭難し、登山客やガイド8人が死亡する事故が発生した。事故の詳しい内容は明らかになっていないが、死亡した登山客7人全員、発見時、雨がしみ込み、中がぬれていたとの報道がある。また、生還した戸田新介氏は、遭難前日の雨で、下着までびしょ濡れだったこと、遭難当日は風雨で、じっとしていると耐えられないほど寒かった、と証言している。

 戸田氏の証言が事実であるならば、下着までびしょ濡れになって、十分乾かないまま、翌日着たのだろうから、低体温による凍死も有り得ることだろう。雨がしみ込み、中がぬれるような、雨具を着用していたら、山の風雨ではひとたまりも無いだろう。

 現在、登山をするときには、たいていの人はゴアテックスの雨具を着用している。登山用ゴアテックスの雨具を正しく着用すれば、戸田新介氏の言うように、下着までびしょ濡れになることは無いし、雨がしみ込み、中がびしょ濡れになるようなことはない。
 もし仮に戸田氏の証言が事実であるとするならば、よほど、粗悪で登山に使用できない雨具を着用していたか、まともな使い方をしていなかったのか、いずれかの原因で、遭難したものと思われる。

 まともな装備を持っていない者、および、装備を正しく使用できない者は、登山を断るべきであり、登山ガイドには、参加を拒否する権限を与えるべきである。そうでない限り、今回のような遭難はいつか再び起こるだろう。

ネットで調べると、『ゴアテックスの雨具でも中までびしょ濡れになることがある』との記述をしている人もいる。もちろん、ゴアテックスであっても、不良品は漏水するかも知れないが、まともな、登山用ゴアテックスの雨具を正しく着用していれば、中までびしょ濡れになることはない。

ゴアテックスの雨具で、中まで、濡れのは、次の3通りの原因が考えられる。
 ①破れ、裂け、表面亀裂等のメンテナンス不良。あるいは劣化した雨具の使用。不良品の使用。
 ②開口部からの雨水の侵入
 ③汗をかいたため、内部からの濡れ

 ①の原因で濡れたとしたら、論外である。②、③の原因で濡れることは、ある程度は仕方ない。しかし、中までびしょ濡れになるほど雨水が侵入することは、まともな着用をすれば十分に避けられる。また、汗で濡れた後に冷えないように注意することは、天候と関係なく大切なことであり、このような対処もできずに低体温になるような人は、はじめから、遭難予備軍だろう。

注意)ゴアテックスの雨具による濡れについて。
 ゴアテックスは、防水・透湿の両方を備えた優れた素材であるため、雨具として最適である。しかし、ゴアテックスの雨具を着用していれば、内部は全く濡れないというものではない。ゴアテックスの雨具も、所詮道具なので、限界はあるし、使用に注意も必要である。

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