拝啓 外務省ロシア課 御中 (謎のJ字矢印の真実)2009年09月08日

 『千島占領ソ連軍はウルップ島に到達すると、択捉以南はアメリカの占領地であるため、8月27日に北転して帰った。その後、アメリカが来ていないと知ると、8月28日に択捉島を占領した。』との嘘が、まことしやかに語られたことがあります。海部・ゴルバチョフ会談で、海部はこれを事実として北方領土が日本の領土であることを主張しています。

 ところが、実際には、8月27日には、北千島占領ソ連軍は新知島にいて、ウルップに到達していませんでした。その前日の8月26日には、南千島占領を目的とした掃海艇第589号・590号が樺太大泊港から択捉島に向けて出航しています。

 日本で語られたウソの発端は、元・海軍少佐で作戦参謀の水津満の証言です。水津満は故意に嘘をついたのか、単純な誤解なのか、分かりませんが、和田春樹は水津の主張を「単純な誤解」としています。

 謎のJ字矢印は、水津の証言を元に書かれたもので、1992年版では、『二十七日には、北方領土の北端である択捉島の手前まで来て、一旦引き返しました。・・・このことは、当時ソ連軍に同行させられていた日本軍の作戦参謀の証言からも明らか』と書かれています。ところが、同じ年に、ソ連が崩壊して、ソ連側資料が公開されると、記述の誤りが明らかになりました。
 このため、1996年版以降は、本文には8月27日の説明はなくなりましたが、地図にだけ、思わせぶりなJ字矢印が残っています。

詳しくは、こちらを参照ください。
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/Hoppou3.htm

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