トムラウシ遭難考-ゴアテックスのレインウエア (2)2009年09月29日

 今年7月16日に、北海道大雪山系トムラウシ山で、ツアー登山パーティーが遭難し、登山客やガイド8人が死亡する事故が発生した。事故の詳しい内容は明らかになっていないが、死亡した登山客7人全員、発見時、雨がしみ込み、中がぬれていたとの報道がある。また、生還した戸田新介氏は、下着までびしょ濡れだったと証言している。雨がしみ込み、中が濡れたのでは、低体温による凍死も有りうることだろう。
 ゴアテックスのレインウエアを着用しても、下着までびっしょり濡れることはあるのだろうかと、疑問だったので、この点、モンベルに問い合わた。モンベルの回答によると、適切メンテナンス、開口部から雨水が侵入しないようにして、汗をかかなければ、下着までびっしょり濡れることは避けられるが、限界を知って、適切に使わないとだめですよ、と言うことであった。
http://cccpcamera.asablo.jp/blog/2009/09/05/4564474
  
 登山雑誌『山と渓谷』10月号にはトムラウシ遭難の特集があるが、その中、P13に次の記述がある。

『旭川在住の荻野真博さんは、遭難発生当日にロープウエイ姿見駅から入山、旭岳~白雲岳避難小屋~忠別岳避難小屋と歩いた。…雨は霧雨から小雨程度だったにもかかわらず、防水透湿素材の雨具を着ていても全身びしょ濡れになり、パンツまでずぶ濡れ、靴も水浸しだったという。「雨具の耐水性能を超える状況だったのではないか」と語った。』

 これは、ゴアテックスの性能に対して疑問視しているとも読める表現なので、ゴアテックスの耐水性能について、ジャパンゴアテックス株式会社に問い合わせ、丁寧な回答をいただいた。

ジャパンゴアテックス株式会社は、生地を通して浸水することは無いと、明確に説明している。以下、回答の要点を記す。
・ゴアテックス生地の防水耐久性は極めて高く、たとえ豪雨であっても水圧で生地を通り抜けて浸入することはない
・すべてのゴアテックス(R)レインウェアは製品化の前の段階で降雨耐久試験によってウェアが防水構造になっていることを確認している
・フィールドで体を濡らす原因としては、一般的には首回りやそで口からの浸入、汗による濡れ、ウェアにできた傷からの浸水などが考えられる
 トムラウシ遭難は、まともに雨具を使えないような不良登山者だったのだろうか、それとも、報道や生存者の証言が誤りなのだろうか。

参考)ジャパンゴアテックス株式会社の回答(一部省略)

ゴアテックス(R)レインウェアは、防水透湿素材ゴアテックス(R)ファブリクス(生地)でつくられております。
この生地の防水耐久性は極めて高く、たとえ豪雨であっても水圧で生地を通り抜けて浸入することはございません。
また、ウェアを縫製する際にできる針穴もゴアシーム(R)テープというテープで裏側から目止めを施し、防水性を確保しております。

さらには、すべてのゴアテックス(R)レインウェアは製品化の前の段階で降雨耐久試験によってウェアが防水構造になっているかどうかを確認しております。
このレインテストをはじめ多くの検査に合格して、はじめて生産することができるという品質基準を設けています。

フィールドで体を濡らす原因としては、一般的には首回りやそで口からの浸入、汗による濡れ、ウェアにできた傷からの浸水などが考えられます。

お持ちのゴアテックス(R)レインウェアについて、何かご不安がおありでしたら、山行の前に私のほうで責任をもって漏水箇所が無いかどうかを検査させていただきますので、弊社カスタマーサービスセンターまでご連絡いただきますようお願い申し上げます。

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