トムラウシ山遭難考―本の紹介 ― 2010年08月09日
本の題名:トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか
著者:羽根田治, 飯田肇, 金田正樹, 山本正嘉
出版社:山と渓谷社
定価:1680円
著者:羽根田治, 飯田肇, 金田正樹, 山本正嘉
出版社:山と渓谷社
定価:1680円
昨年7月16日、北海道のトムラウシ山で15人のツアー登山パーティのうち8人が死亡するという夏山登山史上最悪の遭難事故が起きました。これまで、いろいろな検証がなされてきましたが、本書は、これらの集大成です。
本の内容は以下の項目となっている。
①遭難の経緯②松本ガイドの証言③低体温症の解説④遭難時の気象条件⑤運動生理学的から見た本遭難⑥まとめとしての提言
このうち、『①遭難の経緯』はこれまで伝えられていた集大成、あるいは、それ以上に詳しい内容になっている。特に、断片的ではあるが、登山客の着衣にも触れられており、低体温症の真の原因に迫れる内容になっている。『②松本ガイドの証言(本書では山崎ガイド)』は雑誌『山と渓谷2010年8月号』の記事とほとんど同じ内容。『③低体温症の解説』はトムラウシ山遭難事故調査特別委員会のトムラウシ山遭難事故調査報告書(以下、報告書と書きます)と類似した内容であるが、報告書にある『低体温症にならないために』の項は少なくなっている。ただし、他の遭難事例の考察なども追記され、内容的にはかなり豊富になっているので、低体温症のさらに深い理解が得られるだろう。『④遭難時の気象条件』『⑤運動生理学的から見た本遭難』は報告書とほぼ同じ内容。
報告書では遭難の第一の原因はガイドのミスと結論し、ガイドのスキルアップの必要性を強調していた。本書の、『⑥まとめとしての提言』の部分は、報告書とは異なり、もう少し幅広い考察がなされている。
①遭難の経緯②松本ガイドの証言③低体温症の解説④遭難時の気象条件⑤運動生理学的から見た本遭難⑥まとめとしての提言
このうち、『①遭難の経緯』はこれまで伝えられていた集大成、あるいは、それ以上に詳しい内容になっている。特に、断片的ではあるが、登山客の着衣にも触れられており、低体温症の真の原因に迫れる内容になっている。『②松本ガイドの証言(本書では山崎ガイド)』は雑誌『山と渓谷2010年8月号』の記事とほとんど同じ内容。『③低体温症の解説』はトムラウシ山遭難事故調査特別委員会のトムラウシ山遭難事故調査報告書(以下、報告書と書きます)と類似した内容であるが、報告書にある『低体温症にならないために』の項は少なくなっている。ただし、他の遭難事例の考察なども追記され、内容的にはかなり豊富になっているので、低体温症のさらに深い理解が得られるだろう。『④遭難時の気象条件』『⑤運動生理学的から見た本遭難』は報告書とほぼ同じ内容。
報告書では遭難の第一の原因はガイドのミスと結論し、ガイドのスキルアップの必要性を強調していた。本書の、『⑥まとめとしての提言』の部分は、報告書とは異なり、もう少し幅広い考察がなされている。
と言うことで、最初と最後の章を始めとして、一読の価値があります。本書では登場人物が仮名になっているので、本事件に対して興味を持ってきた者にとっては、若干読みにくい。私は、仮名と本名の対応表を作って読みました。
この本を読むと、戸田新介氏(本書では久保博之)は嫌なやつで、言っていることも必ずしも信用置けないと感じます。斐品真次氏(本書では清水武志)は人間味あふれる立派な人に感じます。著者は、両人ともにインタビューして、そう思ったのでしょうか。
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