福島市の放射能はいつになったら平常値に戻るのか ― 2011年03月21日

上の図は、福島県のホームページに公開されている数値から書いた、福島市にある北保健福祉事務所事務局東側駐車場の環境放射能測定結果(暫定値)。
http://www.pref.fukushima.jp/j/index.htm
http://www.pref.fukushima.jp/j/7houbu7.pdf
横軸は、放射能が急に大きくなった3月15日17時を0とした経過日数。縦軸は放射能濃度で単位はマイクロシーベルト毎時。縦軸は対数メモリで書いています。
放射性物質は崩壊するときに放射線を出すわけですが、放射線を出すにつれて、徐々に減ってくるので、それに伴って、時間とともに放射能も減少します。単一核種の場合は、縦軸を対数で書くと、直線的に減少してゆくことが知られています。つまり、放射能濃度Rは次式となります。
R=Aexp(-a・t)
ここで、tは時間、aは核種によって定まっている数値。Aは初期放射能濃度。・は掛け算です。

上の図は、いつになったら1マイクロシーベルトに低下するのかを推定するためにグラフに直線を入れたもの。最初のころは順調に減少したので、10日もすれば1マイクロシーベルトに低下するように思えましたが、現在の減少量を見ると、21日程度で1マイクロシーベルトに低下するように思えます。
放射性核種が複数混在するときの放射能濃度Rは次式となります。
R=ΣAiexp(-ai・t)
ここで、iは核種。aiは核種によって定まっている数値。Aiは核種iの初期放射能濃度。
この式の意味するところは、最初のころは、すばやく減少する放射性核種の影響で、順調に放射能が減るけれど、徐々に、減少時間が遅い放射性核種の影響が大きくなり、思いのほか放射能は減ってくれない可能性があることを示しています。
福島市の放射能濃度も最初のころは、10日もすれば1マイクロシーベルト以下になるだろうと思われたのに、今では21日程度かかるように感じられるのは、このためです。日数がたつにつれて、減少量はさらに遅くなり、なかなか、1マイクロシーベルト以下にならないかもしれません。
1マイクロシーベルト毎時の放射線量は結構大きいもので、この程度の放射線に1年間暴露されていると、CTスキャン1回分程度の被爆量になります。オジサンや、婆さんには全く気にする線量ではないけれど、妊婦や子供は不必要に被爆しないほうが好ましい線量です。
福島市の原発事故前の放射能濃度は、0.1マイクロシーベルト毎時以下でした。
追記)
上の図は、適当に、21日で1/20程度に減少するように直線を引いたけれど、実際には8日で1/2に減少しているのかもしれない。これだと、24日で1/8になります。放射性のヨウ素の半減期がおおよそこの程度なので、福島市の放射能の原因は放射性ヨウ素の可能性が高い。ヨウ素は、体内の取り込まれると甲状腺にたまるので、外出は控えたほうがいいですね。
福島市の放射能濃度も最初のころは、10日もすれば1マイクロシーベルト以下になるだろうと思われたのに、今では21日程度かかるように感じられるのは、このためです。日数がたつにつれて、減少量はさらに遅くなり、なかなか、1マイクロシーベルト以下にならないかもしれません。
1マイクロシーベルト毎時の放射線量は結構大きいもので、この程度の放射線に1年間暴露されていると、CTスキャン1回分程度の被爆量になります。オジサンや、婆さんには全く気にする線量ではないけれど、妊婦や子供は不必要に被爆しないほうが好ましい線量です。
福島市の原発事故前の放射能濃度は、0.1マイクロシーベルト毎時以下でした。
追記)
上の図は、適当に、21日で1/20程度に減少するように直線を引いたけれど、実際には8日で1/2に減少しているのかもしれない。これだと、24日で1/8になります。放射性のヨウ素の半減期がおおよそこの程度なので、福島市の放射能の原因は放射性ヨウ素の可能性が高い。ヨウ素は、体内の取り込まれると甲状腺にたまるので、外出は控えたほうがいいですね。
直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない ― 2011年03月21日
福島市のホームページに、「放射線について理解を深める講話の概要」が掲載されています。
http://bousai.city.fukushima.fukushima.jp/info/img/copy_of_eee.pdf
でも、多くの人は、自分に生じるかもしれない「急性障害」よりも、子供や孫に生ずるかもしれない「晩発性障害」を恐れているのではないだろうか。たとえば、妊婦が被爆して生まれた子供の知能が低かった場合、発覚するのは小学校入学後のことでしょう。そうなった場合は、行政としては、特殊学校の用意などをすればよいので『対応する余裕がある』ことになります。でもね、生まれる本人や親にとっては、そんなことではないでしょう。
チェルノブイリ被災地の子供は、他の地域に比べて、学力が低いとの話もあります。平均のことだから、被災地にも頭のいい子はいるし、被災していなくても単なるバカな子もいます。
(補足)誤解のないように補足します。チェルノブイリ原発汚染地域の子供の平均学力が低かったとしても、ただちに放射能の影響ともいえません。たいていの人は、汚染地域にとどまりたくないだろうから、お金があれば、引っ越しをすっる人も多いでしょう。このため、汚染地域にとどまっている人は、貧しい人が多く、元々、親の学力が低かったとも考えられます。
枝野長官は「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」と言っています。枝野長官の説明は、嘘ではないけれど「晩発性障害の可能性は全くない」と言ってくれない限り、危機意識を持たなくてはならないのです。子や孫に晩発性障害が起こったら、おしまいです。
福島市の人は「急性障害は起こらない」「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」のであるならば、それで満足なのでしょうか。人それぞれの考えだと思うのですが、私ならば、放射線濃度が今なお高い地域からは、子供だけでも退避させるけどなー。 いまだに、数マイクロシーベルト毎時って、うれしくない数値です。
誤解の無いように追記すると、数マイクロシーベルト毎時程度の放射線量は微弱なので、遺伝障害を含む晩発性障害の可能性も無いか非常に低いものです。可能性は無いとの説の人もいます。でも、もし、万一起こったら、取り返しが付かない。そこをどのように考えるのかは、個人個人の問題です。
http://bousai.city.fukushima.fukushima.jp/info/img/copy_of_eee.pdf
医学的な観点から、放射線による障害には、①数日から数週間で起きる急性障害、②数年後以降に起きる晩発性障害、の2種類がある。現時点の状況から言えることは、今の退避行動をとっていれば急性障害は起こらない、晩発性障害の可能性はあるが時間があるので対応する余裕がある、ということ。この説明、全く同感です。枝野長官は放射線量を説明するときに「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」と付け加えるのを忘れません。
でも、多くの人は、自分に生じるかもしれない「急性障害」よりも、子供や孫に生ずるかもしれない「晩発性障害」を恐れているのではないだろうか。たとえば、妊婦が被爆して生まれた子供の知能が低かった場合、発覚するのは小学校入学後のことでしょう。そうなった場合は、行政としては、特殊学校の用意などをすればよいので『対応する余裕がある』ことになります。でもね、生まれる本人や親にとっては、そんなことではないでしょう。
チェルノブイリ被災地の子供は、他の地域に比べて、学力が低いとの話もあります。平均のことだから、被災地にも頭のいい子はいるし、被災していなくても単なるバカな子もいます。
(補足)誤解のないように補足します。チェルノブイリ原発汚染地域の子供の平均学力が低かったとしても、ただちに放射能の影響ともいえません。たいていの人は、汚染地域にとどまりたくないだろうから、お金があれば、引っ越しをすっる人も多いでしょう。このため、汚染地域にとどまっている人は、貧しい人が多く、元々、親の学力が低かったとも考えられます。
枝野長官は「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」と言っています。枝野長官の説明は、嘘ではないけれど「晩発性障害の可能性は全くない」と言ってくれない限り、危機意識を持たなくてはならないのです。子や孫に晩発性障害が起こったら、おしまいです。
福島市の人は「急性障害は起こらない」「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではない」のであるならば、それで満足なのでしょうか。人それぞれの考えだと思うのですが、私ならば、放射線濃度が今なお高い地域からは、子供だけでも退避させるけどなー。 いまだに、数マイクロシーベルト毎時って、うれしくない数値です。
誤解の無いように追記すると、数マイクロシーベルト毎時程度の放射線量は微弱なので、遺伝障害を含む晩発性障害の可能性も無いか非常に低いものです。可能性は無いとの説の人もいます。でも、もし、万一起こったら、取り返しが付かない。そこをどのように考えるのかは、個人個人の問題です。