ホウレンソウ・かき菜などの出荷停止指示2011年03月22日

基準を超える放射能が検出された件に関して、菅直人首相は、福島、茨城、栃木、群馬の各県産ホウレンソウ、かき菜などの出荷停止を指示しました。期間は「当分の間」。
風評被害を防ぐうえでも、仕方ないのかもしれないけれど、ずいぶん過剰反応のように感じます。ホウレンソウを買ってきたまま、洗いもしないで、生でバクバク食べる人はいないだろう。青虫じゃないのだから。普通に洗った後、普通に加熱調理すれば、放射性のヨウ素は相当減るだろうから、食べるときには、基準以内になっているだろう。

ホウレンソウの放射能の基準は2000ベクレル/kgだそうで、24000ベクレル/kgのホウレンソウが見つかったのだとか。
では、24000ベクレル/kgのホウレンソウを洗わないで生で毎日食べたらどのくらいのものだろうか。毎日300g食べるとしよう。放射性ヨウ素1ベクレルは0.02マイクロシーベルトに相当するとして計算すると、1日当たり144マイクロシーベルト。これは、1時間当たりに換算すると、6マイクロシーベルト毎時です。これって、福島市の放射能と同じくらいです。

一番汚染されているホウレンソウを、洗わないで、生で、毎日、食べるのは、やめた方が良いですね。そんな人、いないですよね。


 事故原発北部の飯館村では、水道水から基準値の3倍以上の放射性ヨウ素が検出されています。飲んだとしても、ただちに健康に影響する量ではないけれど、水は洗うわけに行かないので、困ったものです。
 対策本部は「1リットル飲んで受ける放射線量は胃のエックス線検診1回の28分の1」との説明だそうですが、普通、人は1日2リットルぐらい水分を摂取するので、そうすると、14日で胃のエックス線検診1回に相当することになります。ただちに健康に影響する量ではないけれど、このまま続くとしたら、うれしくない線量ですね。

放射線が強くても、屋内・車内だと大丈夫なのか→そんなことは無いでしょう2011年03月22日

毎日新聞の記事です
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/news/20110316k0000e040048000c.html

 調査は15日午後8時40分~同50分にかけ、同町内3地点で計測機器を積んだ「モニタリングカー」を使って実施した。その結果1時間当たりの放射線量は、19キロ離れた場所で車外255マイクロシーベルト、車内223マイクロシーベルト▽20キロ離れた場所で車外270マイクロシーベルト、車内220マイクロシーベルト▽21キロ離れた場所で車外330マイクロシーベルト、車内300マイクロシーベルト--となった。



 この測定結果で注目すべき点は、車の中と、車の外で計測し、両者を比較している点です。3か所の測定点を見ると、車の中の方が1~2割程度、放射線量が少ないことが分かります。しかし、大幅な低減効果がないことも分かるでしょう。今の車の鉄板は薄いので、遮蔽効果が少ないのです。戦車ならば、もっと遮蔽効果が大きいはずです。

 屋内にいる場合の放射線量がどれくらいになるのか、測定結果がないので良く分からないのですが、毎日新聞の記事は『屋内でも車内に近い数値が計測されることも予想』と書かれています。妥当な判断でしょう。普通に考えると、木造家屋には放射線遮蔽効果はほとんどなく、コンクリートだと、一定の効果が望めるはずです。ただし、放射線の種類によって違うので、一概には、何とも言えません。



 屋内外の放射線量に大きな違いがないからと言って、屋内外で人体に及ぼす影響に違いがないだろうと思ったら、大間違いです。
 放射線観測機器は息をしないけれど、人間は息をするので、屋外で息をした場合、屋外に存在する放射性物質を吸引する恐れがあります。身体に入ったら、なかなか出てこない。今後、計器で測定する放射線量が下がった場合でも、体の中の放射線量が下がらないと言う事態にもなりかねない。状況をさらに悪化しないためにも、屋外での活動は慎重に。

 屋内に居ると、放射線被害を低減することができるのではなくて、屋外に漫然と居ると、放射線被害を大きくする恐れがあるのです。


機密性の高い屋内に居る場合:
 放射線による被害(外部被爆) ← 被害はこれだけです

戸外に居る場合:
 放射線による被害(外部被爆) + 放射性物質吸引の被害(内部被爆)

●一般に、放射性物質吸引の被害(内部被爆)の方がはるかに大きい。
●放射性物質吸引の被害(内部被爆)は、消防隊の特殊防護服などの着用で、避けることが可能。
●放射線による被害(外部被爆)を避けることは放射線の種類にもよるが、一般には困難。(学生の時、コバルト60の照射実験をしたことがあるけれど、この施設は、厚さ1メートルのコンクリートで放射線防護をしていました。コバルト60のガンマ線を1/10に減衰させるには、鉛だと4cm、鉄板だと8cm、コンクリートだと25cm必要です。1mのコンクリートでは1/10000に減衰します。)



補足:
 ちょっと、おかしなことを書きました。
 『普通に考えると、木造家屋には放射線遮蔽効果はほとんどなく』と書きましたが、これ、間違いですね。
 私の実家のような安普請の木造住宅と、お城のように厚い土壁の木造住宅とでは、放射線遮蔽効果が全く違います。単に木造住宅と言っても、いろいろな木造住宅があるので、一概に、放射線遮蔽効果を論じることはできません。




追記:
 5月になると、原発事故当初とは変わって、放射性セシウムが地表に堆積していることの影響になっています。このため、汚染されている地表面方遠ざかることが、被曝を低減するために有効です。屋内退避には、被曝を低減するための一定の効果があります。ただし、雨樋や屋根などに、放射性物質がたまっていることもあるので、一概に、屋内退避が良いとも決められません。 (2011.5.10)

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