原発は止めた方が良いように思います2011年05月25日

原爆と原発事故:
 原爆は一時的に放射線が大量に放出されるけれど、放射性物質はそれほど多くは無い。このため、一時に多数の人を殺傷します。これに対して、原発事故は、放射線はそれほど多くは無いけれど、放射性物質が大量に放出され、時間をかけて、健康被害が現れます。このように、両者には、明確な違いがあります。
 
 広島原爆の直後には、黒い雨が降りましたが、その中には、放射性物質が含まれていました。京都大学の今中氏は黒い雨が降った地点でのセシウム濃度を数百Bq/m2程度、最大でも2000Bq/m2と推定しています。
 
 一方、福島原発事故では、飯舘村、浪江町、葛尾村の放射性セシウムの濃度は147万Bq/m2を越えているそうです。これは、チェルノブイリで強制退去となった汚染量です。これほどの高濃度汚染地には、長期間住む人は少ないだろうけれど、55万Bq/m2を越えた汚染地には、妊婦や子供が住んでいます。
 「ただちに健康被害は生じない」ことは、確かだろうけれど、あまりにも多いようで心配です。
  
 福島県では、今後30年にわたって、原発周辺自治体の住民約15万人に対して、健康診断を行うそうです。微量放射能被曝の健康に及ぼす影響が、詳細に調べられる可能性があります。その結果、心配が杞憂だったことが判明すれば良いのだけれど。
 
 
配管:
 今日の朝日新聞の一面トップ記事は、3号機の冷却配管が、津波前に地震で破損していた可能性を伝えるものです。1号機でも、津波前に、放射能レベルが急激に上昇していることを観測しており、地震で配管が破断していた可能性を強く示唆しています。
 今回の津波は想定外だったけれど、地震の揺れは想定の範囲内でした。もし、地震で配管に損傷が起こっていたならば、他の原発もすべて危険であることになります。日本中のすべての原発は、即刻停止して、安全性を詳細に調べる必要があるかもしれない。
 
 
計算:
 原発の地震に対する安全性は、数値計算により十分に確認されていることになっています。
 本職は数値計算屋です。自分の感覚としては、原発の構造安全性解析結果は必ずしも信用できない。もちろん、現在可能な、最高の計算をしていることは確かです。だからと言って、計算結果が正しいことにはならない。ただし、大事故確率解析に比べれば、構造安全性解析は、はるかに優れています。
 
 
仕分け:
 理研のスーパーコンピュータプロジェクトは、レンホウさんの仕訳で、だいぶ削減されたけれど、これが完成していれば、原発の構造安全性解析結果は、もう少し進んでいたかもしれない。でも、信頼できる解析には、まだまだ遠いように感じる。スーパーコンピューターは理研が担当だけれど、原発の構造安全性解析は大学が中心になって、実際の作業は。。。と、これ以上書くと、職業の守秘義務に抵触しそうなのでやめます。

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