本の紹介-原発崩壊 増補版-想定されていた福島原発事故2011年06月19日



これまで、専門の学者などから、原発の危険性が、各方面で指摘されながら、それらは無視されてきた。どのような危険性が指摘されていたか、どのようにして無視されてきたか。
この本を読むと、これまでの、原発安全審査の問題点が理解できる。
原発の安全性を考える上で、読むべき価値のある本です。

原発崩壊 増補版-想定されていた福島原発事故
明石昇二郎/著  金曜日 2011/4/25 


 福島原発事故以降、原発の危険性を啓蒙する図書の増補改訂版の出版が相次いでいる。この本もそのひとつ。 「第1章 想定内の津波被害と放射能来襲」「原発輸出 これだけのリスク」の2つの章と、「増補版のための前書き、後書き」が追加されている。
 今回の原発事故は『想定外』だったとの見解があるが、専門家が、なぜ想定しなかったのか。本書はこの点について詳しい。東工大教授で環境工学、特に地震と活断層が専門の衣笠善博教授が、地震被害を過小評価し、原発の安全性を著しく損ねてきた点を、厳しく批判している。原発の危険性が見逃され、強引に原発建設が推し進められてきた経緯を知る上で、本書は参考になるだろう。
 本書は、特に衣笠氏を批判しているが、原発の安全審査は衣笠教授一人が決定したわけではなく、多くの専門家がかかわって、故意か無知かは知らないけれど、結果的に原発の安全審査をないがしろにしていた。

 福島原発事故以降、専門家諸氏により、現在の放射能汚染は健康に影響ないとの言説がまことしやかに語られている。このような言説を、鵜呑みにする前に、専門家諸氏は、原発事故以前に何をしてきた人であるのか、そういうことを考える必要があるだろう。

 本書は、ルポライターが書いたものであり、原発の専門知識を必要とせずに、容易に、読み進むことができる。

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