本の紹介-原発の闇を暴く2011年08月02日


原発の闇を暴く 広瀬隆/著, 明石昇二郎/著(集英社新書)
数十年来、原発の危険性を訴え続けた広瀬隆と、ずさんな審査をしてきた原発関連の学者の責任を追及している 明石昇二郎の対談集。
本の内容は、原発の危険性と、それを放置してきた人たちの責任追及。
福島原発事故では「想定外」との説明がなされている。無責任きわまる説明であるが、実際は、想定外ではなくて、想定するとコストがかさむので、想定しなくても良いことにしていたにすぎない。

本書は、安全性を軽視した審査をしてきた学者らの責任を追及しているが、実名と役職名をあげているため、知り合いや親戚に、これら学者があいる人には、不愉快な本かもしれない。これまで、学者や政府・マスコミなどが一体となって原子力は安全であると説明してきたが、「原子力安全」の実態がどのようなものだったか、これまで知らないでいた、多くの人は、一度、この本を読むことをお薦めしたい。

本では安全性を軽視した審査をしてきた学者を単純に批判しているが、学者らの立場を考えると、仕方の無い面があり、学者だけの責任と言うわけには行かない。
学者は、通常、大学教授であり、学者であると同時に教育者であるので、教え子の就職や将来に責任を負っている立場にある。原発関連の研究学科を修了した学生は、原子力研究、原発製造、電力会社に就職するので、原発が無くなったら、とたんに就職口は無くなるし、すでに就職している人たちは、失業することになる。また、原発が無くなったら、原発研究もなくなり、学者自身や後進の研究者も職を失うことになる。このため、原発関連の学者は、原発を推進するという任務が元々与えられているので、原発自体を否定する意見を出すことは、基本的にはできない。
結局、原子力安全審査とは、原発推進の人を集めて審査をするものだったので、結論はおのずから分かっているものだった。このようなお手盛り審査をしてきた責任は、行政にあるというべきであり、マスコミはそれを国民に知らせなかった責任があるのではないだろうか。

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