本の紹介-脱原発 ― 2011年08月12日

脱原発 河合弘之/著
原発事故の話は少ない。
著者の河合弘之は、今回爆発した福島第一原発3号機にMOX燃料が使われることに対して、差し止め訴訟を起こした中心的弁護士。さらに、浜岡原発の停止を求めて提訴している。裁判は、どちらも、敗訴であったが、菅内閣による浜岡原発停止の判断の一因になっているのかもしれない。
本の内容は、これら2つの裁判の法廷闘争が話題の中心で、2人の対談形式になっている。
福島原発事故以前、日本政府・電力会社・御用学者たちは、原発が安全であると説明していた。このような安全性主張は、根拠が不確かなものであることは、多少の知識のあるものには、ある程度分かっていたことだが、安全性に対する疑問の声は、政府・電力会社・学者・マスコミあげて、黙殺されていた。
原発の安全性軽視が、どのようにして、日本国家に定着してきたのか。本書では、法廷闘争を戦った弁護士により、この点が明らかにされている。