本の紹介-ニッポンの国境 ― 2011年08月24日

ニッポンの国境 (光文社新書) 西牟田靖/著 2011/7
著者は北方領土・竹島・尖閣諸島を取材したことがあるノンフィクション作家。北方領土取材では、ロシアのビザを取った上で、サハリン経由で渡航している。また竹島取材は、韓国・鬱稜島経由の入域。いずれの場合も、日本政府の指導を無視した形での入域である。北方領土への渡航は、返還運動関係者に対して、ビザなし渡航が認められているが、ノンフィクション作家である西牟田に対して、日本政府はビザなし渡航を認めなかったため、ロシアのビザを取った上での渡航をした。尖閣の取材は、上陸することが許可されなかったため、飛行機を使っての上空からの取材だった。
本書の内容は、北方領土・竹島・尖閣、日本の抱える3つの領土問題の解説。取材したときの様子も書かれているが、少ない。
北方領土問題の解説では、いくつかの優れた参考書があるが、本書の北方領土問題の解説は、これらの本を参考に、まとめられている。さすがに、作家だけあって、読みやすく、理解しやすい。内容も、一部の考えに偏向するのではなく、事実を中心に書かれているので、北方領土問題をあまり知らない人には、一読の価値がある。
竹島・尖閣問題についても、同様なスタンスで書かれているが、北方領土の章に比べ、著者が読んだ参考文献が乏しいのではないかとの印象を受けた。