本の紹介-復員・引揚げの研究2012年01月27日

 
復員・引揚げの研究―奇跡の生還と再生への道
田中宏巳 (著) 新人物往来社 (2010/06)

特に、お薦め本と言うわけではないけれど、読んだので、忘れないように書きとめておきます。

 本書の内容は、太平洋戦争末期の戦闘、終戦、帰還について、書かれたものである。南方地域の話がメインで、中国・満州の話は少ない。シベリア抑留について書かれた本は多いが、南方地域の抑留や復員について書かれた本は少ないので、これらの概要を知るうえで参考になる本である。
 戦闘・抑留などは各地で大きく異なっていたが、本書はそれらの概要が書かれているので、まとまりが無く、読みにくい。
 ビルマなどのイギリス軍占領地では、戦後、降伏日本軍人は強制労働・危険労働・不衛生労働に従事させられた。本書では、この点にも触れられている。ただし、記述が少ないので、詳しいことは他書を読む必要がある。

静かな環境2012年01月30日

 1月28日、来日中のラブロフ外相と玄葉外相の会談で、北方領土問題を静かな環境で議論することで、合意した。
 このニュースだけだと、もっともな合意に感じられるけれど、「静かな環境」は近年ロシア側の主張する交渉に先立つ要求であり、その意味では、ロシア側要求を日本が受け入れたことを意味している。

 「静かな環境」とはどのような意味だろう。「静かでない環境」を考えれば、「静かな環境」の意味は明確だ。平成21年7月、日本は北特法を改正して、北方領土を「わが国固有の領土」と法律の中に明記したが、これに対して、ロシアは激しく反発した。日本の行為は、国内宣伝のために、国民を扇動するものであると、ロシア側には映っている。日本は、毎年予算を付けて、北方領土返還運動をしているが、このような行為が「静かでない環境」だ。

 日本には、北方領土返還運動団体があって、毎年国民の税金が投入されている。「返還運動マフィア」と揶揄されるが、このような団体が「静かでない環境」を作っている。今回、日ロ合意のなった「静かな環境」を実現するためには、「返還運動マフィア」へ、国民の税金を渡すことを控えなくてはならない。しかし、「返還運動マフィア」は一定の政治勢力であるため、予算カットは簡単ではない。今回の日ロ合意は、領土問題棚上げの口実に使われる可能性が大きい。

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