本の紹介-検証福島原発事故・記者会見2012年04月03日



検証 福島原発事故・記者会見―東電・政府は何を隠したのか



 原発事故で、政府は掴んでいた情報のうち、国民を不安に陥れるようなものを公表しなかった。この点を具体的に検証している。それはそうかもしれないけれど、本の主張には違和感を感じる。
 原発事故当時はいろいろな推測がなされており、正確なことが分からない状況があった。一番悪いシナリオは、首都圏を含めた全域が緊急避難の対象になり得るというものだが、そんなことを政府が発表したら、パニックが起こるだろう。当時、シーベルトやベクレルの意味も、100mSvの被曝の影響も、ほとんどの人は知らなかったはずだ。
 SPEEDIの結果を公表しなかったことを問題視する論調にも同意しかねる。SPEEDIの結果は、計算上の推定値だ。3月17日には文部科学省はホームページに、実測データを掲載しているので、少なくともこれ以降、推定値は必要ない。なお、3月18日に、枝野長官は、会見で、この程度の放射線はただちに健康に影響なく、緊急退避の必要はないと説明した。
 放射線強度が100μSv/hのような場合、退避するべきか留まるべきかは、一律には言えない。個人個人が、正しい放射線の知識を使って、総合的に判断して決めるべきだが、そういう知識を個人個人が持っていたとは思えないので、政府の対応は仕方なかったのではないだろうか。

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