北朝鮮2012年04月16日

金正恩:
 記念行事で、金正恩が演説していたけれど、原稿の棒読みで、体をくねらせるなど、演説の態度はなっていなかった。まだ、若造だからある程度仕方ないとしても、もう少し、練習してから演説すればよいのに。ただし、父親や兄の正男に比べると、はるかに美男だ。母親が美人だから。

人工衛星・ミサイル:
 平壌の軍事パレードでは大陸間弾道弾とも見られるミサイルが公開された。先端形状を見ると、尖っており、地上への落下を目的としたものであることが分かる。
 先日、北朝鮮が失敗したロケットはミサイルではなくて人工衛星打ち上げを目的としたものだろう。先端形状が丸く、地上への落下には適していない。

日本の対応:
 北朝鮮がロケットを打ち上げた時、米国は熱線によりその兆候をとらえたが、日本のレーダーでは飛翔体をとらえることに失敗した。この原因について、日本のレーダーサイトから遠く、水平線より下で落下したのではないかとの報道解説があった。この説明は信じがたい。
 地球半径をR、距離をLとする。水平線上に現れる高度をHと書くと、Hは近似的に次式となる。
 H=L×L/2R
 地球半径は6400kmだが、電波が空気で屈折することを考えると、R=8500km程度となる。800km離れた位置で観測する場合は、38km上がれば、水平線上に見えることになる。北朝鮮ロケットは120km程度上がったとの報道があるので、十分水平線上にあったはずだ。

本の紹介-記録・沖縄「集団自決」裁判2012年04月17日


記録・沖縄「集団自決」裁判  岩波書店/編


 大戦末期、沖縄は戦場となり、多くの民間人が死亡した。死亡者のなかには、直接、日本軍により殺害された者や、集団自殺を強いられたものなどがあった。
 集団自殺を強いられた者の中には、誤った教育宣伝のために、占領よりも自殺を選択した者もあったが、日本軍により自殺を命じられたものや、日本軍により壕を追い出され絶望のうちに自殺をしたものなど、日本軍の直接・間接の関与で、自殺に追い込まれたものがあった。

 日本の右傾化に伴い、一部勢力は、沖縄集団自殺には、日本軍に原因があった事実を隠蔽し、愛国美談に作り上げようとの目論みで、ノーベル賞作家・大江健三郎と岩波書店に対して、損害賠償・出版差し止め請求を行った。大江の書いた岩波新書「沖縄ノート」の記述で、沖縄集団自決の原因が日本軍人にあるように書かれていることは史実に反し名誉を棄損したとの言い分だ。単なる民事訴訟にすぎなかったが、この訴訟を理由に、文部科学省は、教科書に、沖縄集団自殺には日本軍の関与があったとする記述を禁止した。本来、訴訟中の案件で、一方の当事者の見解を理由に、教科書記述の変更を強制するなどあり得ないことであるが、強引な教科書変更が強要された。

 裁判は、1審、2審ともに、大江健三郎と岩波書店側の全面勝訴となり、さらに、上告棄却となり、大江健三郎と岩波書店側の全面勝訴が確定した。

 本書は、裁判で被告人になった大江健三郎と岩波書店側からの解説で、裁判の概要と背景を理解する上で、格好の参考書である。ただし、多数の人が、裁判そのものや、背景などを書いているので、重複する部分が多く、さらに、一人の文章の分量が多くないので、解説に、やや物足りないものを感じる。もし、この本だけでは不足を感じる人は、1審大阪地裁の判決書、2審大阪高裁の判決書を読むことをお勧めしたい。

判決書などはここにあります。
http://osaka-rekkyo.main.jp/okinawasen/

尖閣2012年04月18日

 石原知事が魚釣島を買うと言い出した。現在、この島は埼玉在住者が所有している。島には、かつて、指定広域暴力団住吉会の右翼が灯台を立て、灯台管理を理由に、毎年のように島に上陸していた。住吉会系右翼および関係者以外は上陸できない島だった。

 島所有者は、どのようないきさつで、住吉会系右翼に、灯台を立てさせたのだろうか。指定広域暴力団住吉会と何らかの関係があるのだろうか。不動産業者と暴力団に密接な関係があっても、不思議ではないけれど。

 数年前、武蔵野線が荒川を渡ったところに、指定広域暴力団住吉会の右翼の街宣車が数台止まっていた。街を走っているのを見かけることがあったが、最近は、まったく見かけなくなった。どこか別の場所に移転したのだろうか。

売ればよい・買えばよい2012年04月19日

 尖閣を石原が買うと言っているけれど、どんなメリットがあるのだろう。あんな役にも立たない僻地の離島など、都民が使えるとは思えない。沖縄の普通の土地を買って「都民憩いの家」でも作ったほうが気がきいている。役にも立たない尖閣など、中国か台湾に買ってもらえば良い。中国人が所有者になったところで、領有権問題とは無関係です。
 もし、中国人に尖閣を買われるのが嫌ならば、日本も、北方領土に土地を買えばよい。ロシアでは土地は売買可能です。
 
 尖閣を中国人が買ったり、北方領土を日本人が買ったりすると、外交問題が増えるので、外務省や総務省の役人の仕事が増えて、面倒になることは確実だ。なるべく仕事しないで給料だけ欲しい官僚が反対するのは当然のこと。

本の紹介-逆説の日本史2012年04月23日

   
逆説の日本史 17 江戸成熟編 アイヌ民族と幕府崩壊の謎
井沢元彦/著 小学館 (2011/2)

特にお薦め本とは思わないけれど、読んだので忘れないために書きとめておく。

AMAZONの内容説明には、以下のように書かれている。

『第1章では、東北地方から北海道、さらには千島列島まで、独自の文化を育んできたアイヌの歴史を照射する。和人が蝦夷地に進出する契機となった北東北の争いから和人の過酷な仕打ちに端を発した「アイヌ三大蜂起」。さらには、老中・松平定信が蝦夷地調査報告書を黙殺した理由にも迫る。第2章では、幕末に燎原の火の如く盛り上がった尊皇攘夷思想の源流ともいえる国学思想の成り立ちを荷田春満、本居宣長、賀茂真淵、平田篤胤ら「国学四大人」の軌跡を通じて解読する。第3章では、天保の改革に挑んだ徳川幕府が「祖法大事」と変革の波に乗り遅れる様を詳述。優秀な官吏が国の行く末を見誤っていく歴史をあますところなく活写する。第4章では「なぜ日本の道路舗装率が中国・韓国などより低いのか?」という命題からいたずらに開発に走らず、身の丈にあった暮らし、完全リサイクル社会を実現した江戸の暮らしに陽をあてている。』

 第1章はアイヌ3大蜂起、すなわち、コシャマインの戦・シャクシャインの戦・クナシリメナシの戦を取り上げている。アイヌの歴史を知らない人は、この本を読むことで、アイヌ史に興味を持つのも良いだろう。しかし、他の通史的な歴史書では、アイヌ3大蜂起のみを取り上げるのではなくて、アイヌと和人との関係の歴史的文脈の中で、アイヌ3大蜂起を理解するように書かれていることが多いので、もし、アイヌ史に興味があるのならば、山川出版の日本史リブレットのような他書により知識を得た方が良いように思う。
 第1章の後半は田沼から松平定信時代になって、蝦夷地経営がおろそかになった理由を、朱子学の宗教観に求めている。そういう面があったことも否定できないが、このような単純な考えで松平定信が政策決定していたとも考えられず、著者の一方的意見にすぎないと感じる。本書は、歴史書ではなく、歴史を題材にしたノンフィクション小説の面があるので、為政者の心情が重要なのかもしれない。
 第3章は開国の事情。最近の歴史書が、史実と社会的背景を中心に描かれるのに対して、本書では、為政者・官僚の資質を中心に描く。この方が、娯楽的要素が強くなり、気楽に面白く読める人も多いのかもしれないが、歴史を学習したいのならば、普通の歴史書を読んだ方が良いし、娯楽書が良いならば、普通の小説を読んだ方が気がきいているように感じる。
 第3章で、読む気が失せたので、第4章は読んでいない。

0.18マイクロシーベルト毎時2012年04月24日

 
 群馬県安中市松井田東中学校校庭の放射線を測ったら、0.18μSv/hだった。放射能汚染される前に比べると3~4倍。
 それほど心配する線量ではないけれど、アスファルト舗装のところはずっと低いので、校庭での運動は、あまり長時間にならないほうが良いだろう。

本の紹介-本多勝一の戦争論2012年04月25日

 
本田勝一/著 本多勝一の戦争論 新日本出版(2011.1)

 週刊金曜日など本田勝一の最近の論文を集めたもの。それぞれの論文が、数ページなので読みやすいが、若干物足りなさを感じる。
 本の内容は、3部に分かれている。第1部は南京事件の取材と、南京事件や100人斬り否定派との裁判について。第2部はベトナム戦争と米国、第3部は現代日本と戦争報道のジャーナリズム論。

 第1部では歴史捏造派の人たちとの3つの裁判に触れている。このうちの2つは、歴史捏造派が南京事件を否定する本を出版したのに対して、その中の記述で名誉を毀損された中国人が損害賠償請求をしたものだ。どちらも、歴史捏造派が敗北して、中国人に損害賠償を支払うことが確定した。もう1つは、本田勝一が100人斬りについて書いた記述が「事実に反して名誉毀損である」と、前2件とは逆に歴史捏造派の人たちが起こした裁判だった。こちらは、本田勝一が完全に勝訴した。
 『南京大虐殺』『100人斬り』は史実として明らかになっていることなので、本田勝一らの勝訴は当然のことだった。

 
 『100人斬り』論争について、知らない人もいるだろうから、若干の説明をする。

 南京大虐殺の時、毎日新聞の従軍記者によって、野田少尉らは100人斬りした英雄として称賛された。本田勝一は、彼の著書の中で「中国人がそういうことがあったと回顧した」旨の記述をした。
 戦後、日本は価値観を変えて、100人斬りは悪いことだと言うようになった。価値観を変えたのだから、「野田少尉らは悪い奴だ」と言うのは理解できる。価値観を変えても未練がましく「昔の価値観では野田少尉らは偉かったのだ」と言うのも理解できる。しかし、歴史捏造派の人たちは、100人斬りはなかったと主張した。このような主張のうち、ペテン師イザヤベンダサンの嘘は極端で、「100人斬りは中国人と本田勝一による捏造である」ような主張をした。ペテン師イザヤベンダサンは向かってくる敵を100人も倒すことは体力的にも刀の性能からも不可能であると主張したが、100人斬りを果たしたとされる野田少尉は、捕まっている捕虜を100人切り殺したと説明していたので、イザヤベンダサンの主張はまったくナンセンスなものだったが、ともかく、このようなずさんな見解に基づいて、起こされた名誉棄損訴訟だった。
 裁判は1審2審とも本田勝一の完全勝訴、さらに、最高裁で原告側控訴が棄却され、本田勝一の勝訴が確定した。

 『百人斬り』は当時、毎日新聞の従軍記者が野田少尉らの武勇として伝えたものだった。日本軍の発表など、嘘八百だったのだから、百人斬りが真実でなかった可能性は高いし、そんなことは、今となっては、どうでもいいことのように思う。しかし、戦後、野田少尉の武勇を辱め、野田少尉が嘘つきであったと主張することが、どうして、日本人の誇りなのか、私には理解できないが、この本にも、その疑問には答えていない。もっとも、この点は本書の目的ではない。

亀岡2012年04月27日

 京都府亀岡市で無免許の少年が集団登校中の児童の列に突っ込んで死傷させた事故があった。亀岡って同和利権の町。加害者の父親は警察や学校から被害者の個人情報を入手したようだけれど、同和関係者だったのだろうか。
 亀岡市立保津小学校のホームページによると、ここは、昭和56,57年に『同和教育研究指定校』になっています。

 ところで、『伊津和真』をGoogleで検索すると、いっぱい出てくるいなー。
 今回は加害者が少年だったので、実名報道はされていないけれど、加害少年の友人は当然実名を知っているので、秘密にすることは、今の世の中、ほとんど不可能だ。

本の紹介-アイヌ民族の歴史と文化2012年04月27日


アイヌ民族の歴史と文化―教育指導の手引 桑原真人/監修  山川出版社 (2000/08)

高等学校・中学校の社会科授業でアイヌ問題を教えるための教師指導手引を目的に書かれている。

 古代から中世・近代・現代に至るアイヌの歴史ウ及び文化、現代のアイヌ問題が簡潔にまとめられている。さらに、各章は最初に概要を記し、さらに「本項の視点」として、教育指導の着眼点が示される。項目毎の詳細は「用語解説」で説明されている。

 アイヌの歴史について、学校教育で学ぶ機会は少ないし、関心を持って学習する人も少ないので、多くの日本人はあまりアイヌのことを知らないだろう。本書は、アイヌの歴史の概要を理解するために便利であり、多くの人に、一度読んでみることをお薦めしたい。
 

 アイヌ現代史の第2章6項の「本項の視点」には次のようにある。
 ソ連軍の南樺太と千島の占領は、アイヌ民族などの先住民族に、そのまま留まってソ連国籍になるか、日本に移り日本国籍を得るか、重大な選択を迫られたことを理解させる。(P84)

 この記述は事実なのだろうか。戦前樺太に住んでいた日本人のうちの一部のものは、そのまま樺太に残留したが、彼らは「日本国籍のままの者」「無国籍になった者」「ソ連国籍を取得した者」と、いろいろな人がいた。アイヌの多くは日本に移住しているが「重大な選択を迫られた」との話があるのだろうか。

本の紹介-論点整理 北方領土問題2012年04月30日


論点整理 北方領土問題 石郷岡建/著、東洋書店 (2012/04)(ユーラシアブックレット)

 北方領土問題が日本で語られるとき、日本政府に都合のよい主張のみが繰り返される傾向にある。
 本書は、中立的観点から、日ロの論点を整理したもの。北方領土問題に関心のある人は、一通り目を通しておく価値がある本だ。ただし、60ページあまりと短いので、詳しいことには触れられていない。
 日ロ両国が千島を認識したあたりから記述が始まる。ただし、それ以前から住んでいたアイヌに関する記述はない。
終戦までの記述が全体の1/3、1956年の国交回復までだと全体の半分になる。残りの半分はソ連崩壊直前のゴルバチョフ訪日から現在に至る日ロ交渉。

 ページ数の少ない本なので、疑問点も少ないが、それでも、ちょっと首を傾げたくなる記述がある。

 太平洋戦争末期、テヘラン・ヤルタの合意にしたがって、ソ連は日本に宣戦布告した。日ソ中立条約の残存期間であったため、日本ではソ連を非難する論調が大きい。しかし、ポツダム会談のとき、米国は公文書により、ソ連の参戦は国際法上合法であるとの公式見解を示していることもあり、戦後国際社会においてソ連対日参戦が問題となったことはなかった。ロシアではナチス同盟国との戦争は正義の戦争なので対日参戦の正統性は自明なことと考える人が圧倒的であるが、米国公式見解を持ち出して中立条約残存期間でも参戦は国際法上合法であると説明することもある。本書では『日ソ中立条約を持ち出すと、ロシア側は無視するか肩をすぼめのが普通である』と書かれている。この問題に関心のないロシア人の意見だけを、ロシア側の研究者の見解と思い込んでいるのだろうか。

 本書の最後に、『北方領土問題については領土の返還が目的なのか、ロシアの不正義、悪を糾弾し、謝罪させることが目的なのか、日本社会では、はっきりした見解の一致がない』と書かれている。前者の見解の人がいるのは確かだし、右翼勢力を中心に、後者のように言う人もいるだろう。しかし、法律上は、1956年の日ソ共同宣言に次のように明確に示されている。「日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、千九百四十五年八月九日以来の戦争の結果として生じたそれぞれの国、その団体及び国民のそれぞれ他方の国、その団体及び国民に対するすべての請求権を、相互に、放棄する。」このため、外交交渉として、後者の立場はありえない。

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