奥日光(2)2012年06月24日


この時期、奥日光は、ワタスゲやクリンソウ見物者が多いのですが、ズミも見ごろです。


小田代が原の一本白樺は、周りのズミが育って、一本感が薄れてきました。

梢には嘴の長い鳥が止まっていました。美しい声ではなかった。


本の紹介-ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて2012年06月25日


『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』安田浩一/著 講談社(g2book) (2012/4/18)

 在特会(正式名称:在日特権を許さない市民の会)とは、ネット右翼の一つで、ネット上だけではなく、街頭でも活動し、汚い言葉で、在日韓国朝鮮人などに対して、罵声を浴びせている、到底右翼とは思えない集団。
 本書は、講談社の雑誌G2 Vol6,7に掲載された記事をもとに、大幅に加筆したもの。

 在特会の活動は、単なる弱い者いじめ・無意味な罵倒など、一般常識からも、到底容認できないものであるが、本書では、これらの行為を批判するのではなくて、客観的に事実を追う面が強く、在特会の街頭演説を聞いたことのある者にとっては、無批判すぎる印象を受けるかもしれない。しかし、在特会がネットの世界で、一定の支持を得ていることは事実であり、日本がこのような状況になってしまった理由を考える上で、本書は有用だ。
 在特会の活動で、重要な事件がいくつかあったが、その中でも特筆すべきは、京都事件だろう。京都朝鮮学校は長年に渡り、隣接する公園を運動場として使っていた。これに対して、在特会のメンバーが押し掛けて、サッカーゴールなどの設備を排除し、校門前にて抗議活動をおこなった。この事件で、在特会のメンバー数人が威力業務妨害等の罪で逮捕起訴され、執行猶予付きの懲役等の判決が下された。本書では、この事件の経緯について詳しく書かれている。市民の一人が、京都朝鮮学校の問題をネットに書いて、それに在特会が反応したとのことである。
 在特会のような不良がのさばる原因の一つに、市民社会に問題があるようだ。京都朝鮮学校が公園を使っていて困るのならば、市役所に言えば済むことだ。個人の訴えでは市役所が動いてくれないならば、町内会が市役所に対処を求めれば簡単に解決することだろう。それでもダメな場合は、地域の市会議員に対処を頼めば良い。市民が個人として地域から孤立している社会に、病根の一端があるのだろう。しかし、それにしても、不思議だ。公園を利用するのは、普通、子供だろう。子供がいるならば、子供繋がりで、親には地域社会があるはず。どうして、町内会、子供会、PTA等の地域社会を使って、市役所を動かさなかったのだろう。

 本書は、カルデロンさん事件にも触れている。不法滞在の外国人カルデロン一家に対して、両親は強制退去、子供は在留許可の処分が決まった。これに対して、在特会は子供の通う中学校に押し掛けて、子供に対して罵声を浴びせ続けた。この事件は、在特会の正体を如実に表わしている。在留許可の可否は行政処分であり、許可が下りた少女が在留することに何の問題もない。行政処分に不満があるならば、行政に対して訴訟を起こすなり、国会議員になって法律を変えるなりすることが、法治国家に暮らす国民の権利であり義務である。日本人としての基本的な行動がとれないで、単に少女をいじめる。これが、在特会の正体だ。

 かつて、学生の左翼運動が盛んだったころ、一流大学の多くの学生が、左翼運動をしていた。彼らは、読書をして、理論学習に熱心だった。当時も、右翼学生はいたけれど、彼らは、低偏差値大学の学生だった。言っていることも、単に馬鹿の一つ覚えよろしく「天皇陛下万歳」を叫んでいるように感じた。このため、『左翼=勉強ができる』『右翼=バカ』との印象を持っていたのだが、左翼・右翼の違いは、思想の違いであって、能力の違いではない。しかし、現実の右翼と左翼を比較すると、明らかに能力に違いがあって、不思議だった。
 今になって考えてみると、これは当時、左翼が盛んだったので、まともな学生の多くが流行の左翼になっており、国士舘大学にしか入れなかったような、低偏差値の学生は、左翼にも右翼にも付いて行けず、単に、バカの雄叫びを上げていたのだろう。これが、右翼っぽく聞こえたにすぎない。
 かつての右翼学生は、バカの雄叫びをあげているだけのようだったが、最近目にする、在特会の主張は、当時の右翼学生レベルにも達していない。実際に、中心メンバーの多くは、低偏差値の大学にも入れないような青年だ。
 ただし、能力が乏しい青年が、韓国人や中国人を排除しようとする気持ちは理解できる。現在、日本の企業は、無能な学生を採用する余裕がなくなっているので、無能な日本人青年は不採用にして、優秀な韓国・中国人を採用することも多い。これは、日本人が無能で、韓国・中国人が有能であると言うことではない。日本人にも、韓国・中国人にも有能な人材・無能な人材があるが、能力主義の社会では、日本人でも、無能なものは企業は採用しないのである。日本の社会が無能な人間を排除するようになり、さらに、地域社会でも人間関係が希薄になったため、彼らの行き場所が、ネット右翼以外になくなってしまったのだろう。

朝鮮人従軍慰安婦写真展2012年06月27日

 ニコンプラザ新宿で、写真展「中国に残された朝鮮人元従軍慰安婦の女性たち」が7月9日まで開催中です。
 写真展が開かれることが分かると、ネット右翼たちがニコンに抗議したことを受け、ニコンが写真家に中止を通告。これに対して、東京地裁が、会場使用を認めるようニコンに命じる仮処分決定を出したことから、開催が決まったものです。
 
 今日は、この写真展を見学しました。警備員がたくさんいて、金属探知機を使う物々しい警戒です。お婆さんが映っているモノクロ37枚の写真には、興味が持てなかった。

川東大了(東大修了ではないよ)2012年06月29日

 在特会の副会長兼大阪支部長・川東大了氏(40)が水平社関連施設前で差別発言をした事件の民事訴訟で、奈良地裁は被告・川東大了氏に150万円の支払いを命じました。
http://d.hatena.ne.jp/arama000/20120626/1340688198

 街頭演説が名誉棄損に問われて、150万円の支払いって、かなり高額ですね。発言の内容以外に、裁判の態度も、よっぽど悪かったのだろう。それにしても、40歳にもなって、お気の毒さまです。
 この事件は、安田浩一氏の著書『ネットと愛国』(講談社)にも載っていて、この本によると、川東氏は、本はあまり読まずに、ネットやテレビからしか情報を得ていないようです。いい年して、可哀そうです。

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