ホームページ更新2012年07月30日

北方領土問題の「羅臼国後展望塔」解説ページを大幅に追記しました。  
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/Henkanundou/Rausu/Rausu.htm

 先日、「羅臼国後展望塔」を訪ねたら、ちょうど4島交流のロシア人が会議室でビデオを見ていた。日本の領土要求を正当化する解説ビデオだけれど、日本語版のみのため、通訳が説明していた。ロシア語版を作ればいいのに。
 日本の領土要求の根拠は、必ずしも正しい歴史知識に立脚したものではなくて、日本に都合の良い事実をつなぎ合わせた所があるので、ロシア人の心をつかむことはないだろう。日本に比べ、ロシアでは、近・現代史の歴史教育が深いので、小中学生のときに、まじめに勉強したロシア人ならば、日本の解説が一面的であることはすぐに見破るだろう。

 羅臼国後展望塔のパネルは、他の北方領土問題啓発館に比べても、日本に都合よく書かれている面が強いように感じた。吉田茂がサンフランシスコ条約で、4島は放棄した千島に含まれないと、説明したかなのように、書かれたパネルはいただけない。史実に反した捏造は良くない。
 もっとも、故意に捏造したわけではないかもしれない。吉田内閣は「放棄した千島に国後・択捉が含まれる」と説明していたが、鳩山内閣のときに、この解釈が変更された。これでは、日本のご都合主義であることが明白になってしまうので、日本で、北方領土の歴史を説明するときは、サンフランシスコ条約と鳩山内閣以降の解釈を説明して、吉田内閣の説明や吉田首相のサンフランシスコ条約受諾演説には触れないことになっている。このようにして、知識のない人に、吉田首相がサンフランシスコ条約会議で、4島要求をしたかのような錯覚を与えるトリックを仕組む。
 羅臼国後展望塔のパネルは羅臼町役場員が作ったものなのだろうか。もしそうならば、ろくな教育を受けていない人たちだろうから、日本の説明に騙されて、吉田首相がサンフランシスコ条約会議で、4島要求をしたかのような錯覚をしているとしても、無理からぬことだ。

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