本の紹介-原発と原爆 「日・米・英」核武装の暗闘 ― 2012年10月15日

原発と原爆 「日・米・英」核武装の暗闘 有馬哲夫/著 (2012/8)文春新書
日本が最初に導入した原発は、アメリカ製ではなくて、イギリス製のコールホルダー型原発だった。当時アメリカとは、原発生成物であるプルトニウムを返還する必要があったが、イギリスから導入した原発にはその必要がなく、生成されたプルトニウムは、核兵器の材料に使えるものだ。しかし、イギリスから導入した原発はほとんど使いものにならず、商用原発はアメリカ製のBWRやPWRになる。
本書では、日本の原発開発と核兵器所有欲求を結びつけて説明している。しかし、コールホルダー型原発は、ほとんど使い物にならず、その後の日本は、日米安保体制の元、核兵器を持たないことを国是としたのだから、日本の原発史にとって、核兵器開発の欲求を考慮することが、どれだけ重要なことなのか疑問ではあるが、こういうこともあったと、歴史を一瞥するために、本書は、それなりに面白い。