本の紹介―「対米従属」という宿痾2013年08月31日


「対米従属」という宿痾  鳩山由紀夫、孫崎享、植草一秀/著  (2013/6) 飛鳥新社

 人気の高い本なので、今更、私が紹介するまでもないと思うけれど、自分へのメモ書きの意味も含めて書いておきます。

 安倍政権に警鐘を鳴らす3氏の対談。内容は、鳩山政権・対米姿勢・領土問題・アベノミクスなどについて。

 鳩山政権は普天間基地移設で迷走した揚句に崩壊した。この件について、鳩山氏自身、政権運営が未熟だったと語っているが、このような評価で果たして良いのだろうか。未熟は間違いないのだが、未熟でなければ、普天間の県外移設は可能だったのか、そういうことへの言及がないので、失敗に対する無責任な反省会のような感じがする。
 対米姿勢・領土問題・アベノミクスについては、評論としては、同意できる。しかし、対談のためか、あまり目新しい内容があるわけではない。

 戦後、日本の領土をどうするのかは、カイロ宣言・ポツダム宣言・降伏文書・サンフランシスコ条約が関係している。孫崎氏の以下の見解は、重要な指摘であり、日本の領土問題を考える上で、無視することは出来ない。ポツダム宣言第8条の「and」の解釈が関係する。
 日本の領土問題については、一番初めのところに、日本の敗戦を決めたポツダム宣言の受諾という事実があります。日本が受け入れたこのポツダム宣言では、日本の領土は三つの軸によって定義されています。一つは、日本の領土は北海道、本州、四国、九州の四島であること。二つ目は、その他の島々については、連合国が決定したものが、日本の領土であるということ。三つ目が、これが尖閣諸島の領有権に関係してくるのですが、新たに決める日本の領土についてはカイロ宣言を遵守するというものです。(P117)

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