本―北海道の捕虜収容所 ― 2013年10月07日

『北海道の捕虜収容所 もう一つの戦争責任』白戸仁康/著 北海道新聞社(道新選書) (2008/08)
太平洋戦争中、連合軍捕虜を収容するため、函館に捕虜収容所が作られた。本所は函館だが、北海道各地に分所が作られ、さらに、炭鉱労働などに使役された捕虜は、民間会社の管理となったこともある。
本書は、函館捕虜収容所(本所・分所等)の詳細を明らかにしたもの。日本軍管理俘虜収容所の実態に関する類書が少ないので、本書は、これらの問題理解に大いに参考になる。
日本軍は俘虜を認めず、自殺することを命じていたため、連合軍俘虜に対して、国際法に反した残虐行為を平気で行っていた。函館捕虜収容所においても、凄惨な俘虜取り扱いが行われていたが、このような犯罪行為は所長によって随分と違っていたようだ。本書では、このような実態が詳しく記されている。
日本は、なぜ、俘虜の残虐な取り扱いをしたのか、不思議でならない。食料を少なくするとか、労働をきつくするとか、そういうことならば、利益を上げるためであると説明がつく。しかし、理不尽に殴りつけて、その結果作業が滞るなど、不合理なリンチが頻発している。何の目的で? 江戸時代、階級分化が固定化していたため、下位の貧農層を中心に残虐性向が生じたのでしょうか?