本の紹介 どうなるの? 日本の領土 ― 2013年12月23日

尖閣・竹島・北方領土 どうなるの? 日本の領土 ゆかちゃんの学習ノート
武内胡桃/著、かなき詩織/イラスト (2013/9) ハート出版
子供向きに、日本の領土問題を分かりやすく書いた本、のはず。
でも、勉強が出来る子には、物足りない、説明だろう。最初に、国家の要素として、「領土」「国民」「主権」があげられ、領土を守ることは、国の誇りであると解説している。勉強が、できない子なら、この説明で満足するだろうが、賢い子なら、「少しでも領土を失うことが国家の誇りを失うならば、少しでも国民が外国に帰化することは国家の誇りを失うことなのか」との疑問が生じるだろう。賢い子が読んでも、矛盾ないように、もう少し、論理を推敲して欲しかった。
国民主権と政府の関係の説明もおかしい。著者は、国民主権を家族に譬え、政府を両親に譬えている。家族の中で、権限があるのは、両親なのだから、両親こそが主権者だ。著者の説明では、まるで、政府に主権があるようになってしまう。
竹島問題、尖閣問題は、日本に都合の良い、一方的宣伝をそのまま、書いただけのもの。成績の良い子が、この本で、学ぶ価値はない。ただし、学校の勉強についてゆけない子に、親が教える目的ならば、多少は使えるかもしれない。
北方領土問題では、日本の主張のほかに、歴史的事実に踏み込んでいる。この部分は、子供の学習のためには、有用だ。
北方領土の章並みに、他の章も書けばよかったと思うが、残念だ。