本の紹介-北太平洋世界とアラスカ毛皮交易 ― 2015年02月03日

森永貴子/著 「北太平洋世界とアラスカ毛皮交易」(2014/05) 東洋書店(ユーラシアブックレット)
本書の著者は2008年に「ロシアの拡大と毛皮交易―16~19世紀シベリア・北太平洋の商人世界」の表題で、近世のロシア極東・アラスカ進出と毛皮交易の関係を示した単行本を出版している。本書は、同様な内容だが、ブックレットということもあり、コンパクトにまとめられている。
ロシアの極東・アラスカ進出は、露米会社が主体となって行われた。本書では、露米会社に関連した人たちのエピソードも交えて、当時の様子を読みやすく書かれている。
日本の北方領土問題と直接関係がある内容はないが、露米会社はロシアによる千島開発に深く関係しているので、北方領土問題理解のために、歴史の背景を知る上で参考になるだろう。露米会社について書かれた本は少ないが、その中で、本書は一番読みやすい。
本の紹介-ロシアとユダヤ人 苦悩の歴史と現在 ― 2015年02月04日

高尾千津子/著『ロシアとユダヤ人 苦悩の歴史と現在』 (2014/05)東洋書店 (ユーラシアブックレット)
ロシア革命以前、世界で一番ユダヤ人が数んでいたのが、ロシア帝国だった。その数、およそ500万人。しかし、ロシア革命の混乱期に、帝政擁護派によるユダヤ人弾圧(ポグロム)があり、西側・アメリカ・パレスチナに出国した者も多かった。レーニンはユダヤ人ではないが、ボリシェビキ幹部にはユダヤ系の人が多かったので、帝政擁護派から、革命はユダヤの陰謀であるとの宣伝が為されたためである。
第2次世界大戦で、ソ連西部がナチスドイツに占領されると、多くのユダヤ人がホロコーストの犠牲になった。また、ソ連崩壊後は、海外移住する者も多く、ロシア国内のユダヤ人はさらに数を減らし、現在では、帝政ロシア期の1/10にも満たなくなった。
本書はロシア帝政期から現在にいたるロシアにおけるユダヤ人の状況を時代を追って書いている。ブックレットのためページ数は少なく詳細な内容があるわけではないが、逆にいえば、コンパクトにまとめられていて読みやすい。
本書のタイトルは「ロシアとユダヤ人」であるが、内容は「ロシアのユダヤ人」と思ったほうがよいかもしれない。
『北方領土の日』 ― 2015年02月06日
2月7日は、日本政府が定めた『北方領土の日』。
今年も、「北方領土の日」反対!アイヌ民族連帯集会が開かれます。
このうち、関東集会は、2月7日午後6時から、東京・原宿の神宮前穏田区民会館です。