本の紹介-アイヌ民族否定論に抗する ― 2015年03月04日

岡和田晃、マーク・ウィンチェスター編『アイヌ民族否定論に抗する』河出書房新社 (2015/1)
ギャグマンガ家・小林よしのりが、アイヌ民族はいないなどと、おかしなことを言っていた。本書は、歴史学者・文学者・作家・精神科医師など、いろいろな分野の人により、小林よしのりのような無知を正すことを目的として執筆されている。
有力政治家が、日本は単一民族であるような誤った発言をすることが時々あるので、アイヌ民族否定論のような誤った考えを持っている日本人は多いのかもしれない。
本書は、多方面の専門家による執筆なので、内容が多方面に渡り、やや散漫な感じがする面もあるが、民族とは何か、アイヌの歴史は何か、アイヌ否定論の病根は何かなど、アイヌ問題の入門として読みやすい。
榎森進氏の「歴史からみたアイヌ民族―小林よしのり氏の「アイヌ民族」否定論を批判する」は、アイヌ研究の第一人者による小林よしのり氏批判なのだけれど、小林氏の説が、あまりにも貧弱なので、せっかくの榎森氏の説が、あまり輝いていないように感じる。