本の紹介-日本軍「慰安婦」制度とは何か2015年05月22日

 
吉見義明/著『日本軍「慰安婦」制度とは何か』 (岩波ブックレット 784) (2010/6)
 
 2007年、アメリカ下院で、日本軍の従軍慰安婦非難決議が採択されたとき、女性作家・桜井よしこ、ポップス作曲家・すぎやまこういち、産経新聞客員編集委員・花岡信昭 等は、「歴史事実実行委員会」名で、アメリカ・ワシントンポスト紙に、決議案反対広告を掲載した。花岡は、元衆議院議長・土井たか子が朝鮮人であるとの虚偽宣伝を吹聴した人物として知られる。
 桜井よしこ等の意見広告は、アメリカで反発を買っただけに終わったため、影響力を持たなかったが、日本の一部右翼勢力の中には、意見広告の内容が真実であるかのような主張が見られた。
 
 本書は、意見広告の内容を検証し、批判するもの。63ページの薄い本ではあるが、「慰安婦」制度が軍によってつくられたこと、および、慰安所の運営に対して軍に責任があることを、様々な史料を用いながら説明している。
 
 日本の右翼勢力は従軍慰安婦の問題を日本軍人が直接拉致したのか否かの問題に矮小化しようとしている。しかし、そもそも、強姦とは強姦場所にどのように連れてきたかの問題ではなくて、望まない性行為を強いたかどうかの問題だ。

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