本の紹介-戦争と平和(歴博フォーラム) ― 2015年07月27日

『戦争と平和―総合展示第6室“現代”の世界〈1〉 (歴博フォーラム)』 国立歴史民俗博物館・安田常雄/編集 東京堂出版 (2010/3)
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館(略称・歴博)第6室は「現代」がテーマで、主に日中戦争から近年までを扱っている。歴博は国立の歴史博物館であるという性格上、現代展示は、国家による現代日本史の評価という色彩を帯びるので、海外に日本の歴史観を発する重要性を持っている。
この時代の歴史展示としては、歴博の他に、昭和館・平和祈念館・しょうけい館・遊就館などがあり、それぞれ、力点の置かれ方が異なる。歴博現代展示は、政治経済史ではなく、民衆史に力点が置かれている。昭和館も民衆に力点が置かれているが、昭和館の力点は日本で暮らす日本人の戦争中の苦労話に力点が置かれているのに対して、歴博は軍人・民間人の国内外での状況や他の諸国に与えた影響など幅広い視点による展示となっている。
本書は、歴博現代展示が始まる前に、展示の視点を解説した講演会記録。
歴博現代展示の着眼点の説明がなされているので、事前に本書を読んでおくと、展示を見る目がいっそう深まる。また、日本の現代史を考える上で、どのような着眼点を持てばよいのかを知る上で有益。
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