本の紹介―日清・日露戦争をどう見るか ― 2015年07月28日

『日清・日露戦争をどう見るか―近代日本と朝鮮半島・中国 (NHK出版新書 444)』原朗/著 (2014/10)
日清戦争・日露戦争から第一次世界大戦の日本戦争史の説明。
日清戦争は朝鮮の権益をめぐる日清の対立が原因だった。日露戦争は朝鮮半島および満州の権益に対する日露の対立が原因だった。両戦争に勝利した日本は、朝鮮の植民地化を完成した。
本書では、日清日露戦争が朝鮮支配の問題であったことを明確化して、その後、中国へ進出していった過程を明らかにする。 日清・日露から中国進出へつながる戦争を政治の面から理解するために適切な教科書になっている。
高等学校の日本史教育では、個々の事象を覚えることに汲々として、歴史の流れを見失う生徒が多い。しかし、上位大学の入試問題の日本近代史では、歴史の流れを記述させる出題も多いため、上位大学を日本史で受験する生徒は、本書のような視点は、学校や塾で習っていることも多い。本書のカバーには「近代日本の戦争を朝鮮半島・中国との関係を中心に大胆に読み直す」と書かれているが、それほど大げさなことではないように感じる。
いずれにしても、日本の戦争史を政治の面から理解して、日本史の流れを考え直すためには最適な参考書だ。なお、戦争の歴史書と言うと、軍人の武勇伝を並べ連ねた本もあるが、本書にはそのような視点はない。
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