太地町のイルカ大屠殺-妙適清浄句是菩薩位2015年10月15日

 
那智の滝の写真は横に三重塔が入っているものが多い。この景色、対になって美しい。
  
三重塔は古いものではなく、内部にはエレベーターが備え付けられている。そして壁面には、極楽浄土の様子を描いたらしい仏画がある。
  
 男根を勃起させた男の姿や、男女の性行為、女陰を広げた女の姿などが、菩薩像と共に描かれており、伝統的な日本の仏画とは異質だ。理趣経の世界を表したのだろうか、作者の意図が分からない。私には、グロテスクな絵に感じられる。多数の相手と性行為をすることが好きな人が極楽浄土を心に描いた場合、極楽浄土とは不特定多数の相手といつでも性行為をする世界であると考えるのは自然かもしれない。しかし、私はグロテスクな世界に感じる。 
 少女の肉体を切り刻んで食べたいと思っている人が心に描く極楽浄土は、そういう世界かもしれないが、絵にしたらホラーだ。
  
 イルカ漁に反対する人たちにとって、イルカ漁はホラーに感じるのだろう。だから、反対する気持ちは理解できる。
  
 しかし、普通にイルカを食べている人は、イルカ漁は普通のことに感じるだろう。日本でも、かつてタンパク不足の時代には、鯨を学校給食などで食べていたが、鶏・豚・牛肉を普通に食べられるようになると、鯨肉を食べる人は激減した。現在、鯨類肉の年間消費量は5000トン程度であるので、国民一人当たり換算で年間40gの消費だ。これは、ほとんどの日本人は、鯨類肉を食べていないと言うことで、鯨食は地域食あるいは特定個人食になっている。特定個人食は食文化ではないが、地域食は食文化だろう。このため、『食文化としての地域色である鯨類食を守れ』との主張は理解できる。しかし、太地町のイルカ追い込み漁は地域食を目的としたものではなく、水族館への販売やスーパーマーケットを通した流通だ。
 何かと批判される太地町のイルカ漁だが、実は、イルカの捕獲は三陸の方が多い。2005年の小型鯨類の漁獲量を見ると、和歌山県が1279頭なのに対して、岩手県では13127頭と10倍の漁獲がある。(出典:水産庁・ 水産総合研究センター 平成23年度国際漁業資源の現況 小型鯨類の漁業と資源調査(総説))。シーシェパードなどの環境保護団体は三陸の鯨類の漁にも反対し監視活動をしているが、反対運動は活発ではない。
 太地町イルカ漁が批判される原因は、イルカ漁の目的や手法の特異性と、情報発信の問題が大きい。しかし、太地町は過疎地で高齢化が進んでおり、改革・改良の気運が全く感じられない。このままでは、太地町のイルカ漁も鯨食も自然消滅の運命だろう。


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