2016年 ― 2016年01月01日
本の紹介-武四郎千島日誌 ― 2016年01月02日

『武四郎千島日誌 松浦武四郎-「三航蝦夷日誌」より』 松浦武四郎/〔原著〕 榊原正文/編著 北海道出版企画センター(1996.2)
幕末の嘉永2年に、松浦武四郎が国後・択捉を旅行したときの日記。現代語に訳されており読みやすい。当時のアイヌの置かれた状況を垣間見ることができる。
内容は旅行の日記なので、いつ・どこで何を見たとか、船が動かないとかそういう記述が多い。
田中政雄が選んだ古今東西カメラ100台 ― 2016年01月09日
一礼 ― 2016年01月10日
女たちの戦争と平和資料館 ― 2016年01月11日
本の紹介‐南千島探検始末記 ― 2016年01月12日

ワシリー・ゴロウニン/著、徳力真太郎/訳『南千島探検始末記』 同時代社 (1994/01)
19世紀初め頃、ゴロウニンを艦長とするディアナ号は、ロシア極東海域の精密測量を行った。中部千島の松輪島から南下してウルップ島、エトロフ島、シコタン島を調査し、クナシリ島を調査したときに、日本人役人は偽計を用いてゴロウニンを逮捕した。
ゴロウニンは、その後、2年3か月間、松前藩に投獄された。
本書の前半は、千島測量の記録。千島に属する各島の経度・緯度を記録するとともに、自然状況や居住するアイヌの人たちの様子が記される。千島の正確な地図が出来上がった経緯がわかる。
後半は、逮捕されたいきさつが詳しく記されている。
逮捕後の監禁の時期についての記述は本書にはない。こちらは『日本幽囚記 上中下(岩波文庫)』などとして出版されている。
本の紹介-沖縄の自己決定権 ― 2016年01月13日

琉球新報社、 新垣毅/著『沖縄の自己決定権』 高文研 (2015/6)
本書は、琉球新報の連載記事「道標求めて-琉米条約160年 主権を問う」を一冊の本にまとめたもの。
ペリー来航の時、琉球は独立国だったため、琉米条約が締結された。しかし、明治政府は琉球併呑を行い、琉球王国は消滅した。琉球併合については、高校教科書・詳説日本史(山川出版)にも、若干触れられているが、内容は明治政府視点のみなので、歴史の全体像を理解できるものではない。もっとも、教師用教科書には、琉球王国の対応、日本の武力圧力、アメリカの対応、琉球分割案などにも触れられているので、一部のハイレベル進学校では習った人もいるかもしれないが、少ない。
本書前半は、琉球併合の歴史。この時代の歴史を80ページにわたって詳述している。明治政府の見解のみならず、琉球の考えや清国の考えなど多面的に書かれており、この部分だけでも読む価値は大きい。
後半は、琉球併合が国際法から見た場合正当か否かを検討し、さらに、識者の見解を掲載している。また、、スコットランド独立問題やパラオの独立を検討したのちに、琉球自立の可能性を検討している。
本の紹介-日本軍「慰安婦」問題の核心 ― 2016年01月14日

林博史/著 『日本軍「慰安婦」問題の核心』 花伝社 (2015/6)
戦時日本軍研究の第一人者・林博史氏の慰安婦問題の労作。本書は、すでに発表した論文に補足をしたものなので、一部の論文を読んだことのある人も多いと思う。論文と言っても、すべて学術論文と言う訳ではないので、予備知識があまりなくても十分に読んで理解できる内容になっている。
本書は次の4部からなる。「第1部:問題の所在をめぐって」「第2部:資料に基づく日本軍慰安婦研究」「第3部:歴史資料隠蔽と歴史の偽造」「第4部:米軍の性売買政策・性暴力」
日本軍が現地女性に強制性交させていたことは、南方占領地では、戦後のBC級戦犯裁判で確定したことであり、オランダ政府も明らかにしていることなので、いまさら日本が言い逃れできることではない。
本書は、日本軍慰安婦の事実にたいして、最近の研究成果を示すもの。本書の記述は事実の解明であるので、事実を知りたい人には有益な本である。朝鮮半島・中国大陸の慰安婦のほかに、インドネシアのオランダ人慰安婦の状況も説明されている。
本書第4部は「米軍の性売買政策・性暴力」であることからもわかるように、本書の内容は日本軍の従軍慰安婦問題にとどまらず、米軍の問題を取り上げ、軍事性暴力の立場から慰安婦問題を俯瞰する。
朴裕河/著『帝国の慰安婦』は、韓国の裁判で損害賠償が命じられた。本書では、『帝国の慰安婦』は朴裕河の想像の産物であり事実に基づいたものではないと説明されている。
日没 ― 2016年01月16日
熱川バナナワニ園のソテツ ― 2016年01月17日
伊豆の熱川バナナワニ園を見学した。ここは、おそらく日本最多種のソテツ類を栽培している。あまり大きくない温室に、50種ぐらいのソテツ類が所狭しと植えられている。(写真)。実際にはもっと多種類あるのかもしれないけれど、私に見えたのは50種類ぐらいだった。Encephalartos(オニソテツ)属の種が多い。
すこし見づらいが、これだけの種類のソテツ類がみられる植物園は、日本ではほかにはないだろう。
屋外にも、ソテツ科のソテツ(Cycas revoluta)・タイワンソテツ(Cycas taitungensis)・攀枝花蘇鉄、ザミア科のヤブオニソテツ・ホソバウロコザミア・マクロザミアジェファーソン・ディーオンエデューレが植えられている。露地栽培でどうして枯れないのか不思議だ。温泉の地熱で暖かいのだろうか。
ところで、ここにはスタンゲリアがあるはずだけど、見つからなかった。ソテツ温室には係の人がいなかったので、聞くこともできなかった。
(参考)
ソテツ類は3科11属300種あまりに分類される。ただし科・属・種の分類は学説により異なり、1科とするものや8属とするものなど諸説ある。種の数はおおよその値。
ソテツ科(Cycadaceae)
ソテツ属(Cycas) 113種
ザミア科(Zamiaceae)
サゴソテツ属(Dioon) 14種
オニソテツ属(Encephalartos) 66種
マクロザミア属(Macrozamia) 40種
レピドザミア属(Lepidozamia) 2種・・・マクロザミア属に含めることもある
ツノザミア属(Ceratozamia) 27種
ザミア属(Zamia) 72種
キグア属(Chigua) 2種・・・ザミア属に含めることもある
ミクロキカス属(Microcycas) 1種・・・ザミア属に含めることもある
スタンゲリア科(Stangeriaceae)
シダソテツ属(Stangeria) 1種
ボウエニア属(Bowenia) 2種