本の紹介-日本軍「慰安婦」問題の核心2016年01月14日

 
林博史/著 『日本軍「慰安婦」問題の核心』 花伝社 (2015/6)
 
 戦時日本軍研究の第一人者・林博史氏の慰安婦問題の労作。本書は、すでに発表した論文に補足をしたものなので、一部の論文を読んだことのある人も多いと思う。論文と言っても、すべて学術論文と言う訳ではないので、予備知識があまりなくても十分に読んで理解できる内容になっている。
 
 本書は次の4部からなる。「第1部:問題の所在をめぐって」「第2部:資料に基づく日本軍慰安婦研究」「第3部:歴史資料隠蔽と歴史の偽造」「第4部:米軍の性売買政策・性暴力」
 
 日本軍が現地女性に強制性交させていたことは、南方占領地では、戦後のBC級戦犯裁判で確定したことであり、オランダ政府も明らかにしていることなので、いまさら日本が言い逃れできることではない。
  
 本書は、日本軍慰安婦の事実にたいして、最近の研究成果を示すもの。本書の記述は事実の解明であるので、事実を知りたい人には有益な本である。朝鮮半島・中国大陸の慰安婦のほかに、インドネシアのオランダ人慰安婦の状況も説明されている。
 本書第4部は「米軍の性売買政策・性暴力」であることからもわかるように、本書の内容は日本軍の従軍慰安婦問題にとどまらず、米軍の問題を取り上げ、軍事性暴力の立場から慰安婦問題を俯瞰する。
 
 朴裕河/著『帝国の慰安婦』は、韓国の裁判で損害賠償が命じられた。本書では、『帝国の慰安婦』は朴裕河の想像の産物であり事実に基づいたものではないと説明されている。

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