桜 ― 2016年01月18日
日本の漁業問題に対する2冊の本 ― 2016年01月19日

勝川俊雄/著『漁業という日本の問題』 エヌティティ出版 (2012/4)
濱田武士/著『日本漁業の真実』 筑摩書房 (2014/3)
日本の漁業問題を理解するために読んだもの。予備知識もないので、特に思うことはなかったのだけれど、読んだことを忘れないように書きとめておきます。
勝川俊雄の本は、日本の漁業の問題に、未成魚の乱獲があることと、資源管理が十分でないので、適切な資源管理の必要性を説いている。日本の資源管理は政治的な面が強いので、資源保護の観点が必要なことは論を待たないだろう。
これに対して、濱田武士の本では漁獲規制強化に反対している。この本は、日本の漁業全般にわたって解説しているようではあるが、相互の関連が分かりにくく、水産行政の言い訳に感じる。日本の漁業が現状で問題ないのならばこのままでよいし、問題があるのならば対策が必要なのに、この点が見えない。
ソテツ ― 2016年01月26日
写真は、熱川バナナワニ園で撮影したタイワンソテツ。
石原慎太郎元東京都知事によると、広域暴力団住吉会系右翼団体構成員が尖閣に上陸したとき、いたるところにソテツが生えていたとのことである。しかし、明治時代以降、何度か尖閣の学術調査がなされているが、ソテツは見つかっていない。右翼団体構成員は、別の植物とソテツの区別がつかなかったものと推測されるが、いったい何と見間違えたのだろう。尖閣には「ビロウ」がいたるところに生えているが、ビロウとソテツでは葉の形状が異なるので、いくら無知な右翼でも全員が見間違えるとは考えにくい。
1月中ごろ、熱川バナナワニ園でビロウやヘゴ類、タイワンソテツなどの写真を撮ったので、以下のページに追加した。
http://cccpcamera.photo-web.cc/Ryoudo/Senkaku/ETC/Sotetsu.htm
ソテツは庭木などに栽培されるが、地味な植物なので関心が高いとは言えない。ソテツ類のいくつかの植物を筑波実験植物園で撮影し掲載したが、熱川バナナワニ園で撮影したものを追加した。
http://cccpcamera.photo-web.cc/My_Picture/Cycas/Sotetsu.htm
ザミア類は属に従ってページを分割した。ただし、オニソテツのページは未完。
今後、筑波実験植物園や熱川バナナワニ園を再訪して、もう少し写真を充実したいと思っています。
本の紹介-竹島 ― 2016年01月31日

池内敏/著『竹島 ―もうひとつの日韓関係史 』(中公新書)(2016.1)
竹島問題研究の第一人者・池内敏教授による一般向け解説書。著者は、竹島は日本固有の領土との日本政府の説明には批判的であり、かといって、韓国の主張に同調しているわけではない。近代以前に、竹島が日本の領土であったとか、韓国の領土であったとする、両国の主張をともに否定する。
著者は、2012年に名古屋大学出版会より『竹島問題とは何か』を出版しているが、この本は内容詳細で参考文献も豊富に記されていた。本書は一般向け解説書であるので、あまり細かい話題には立ち入っていない。また、参考文献の記載も少ない。しかし、いい加減な記述ではなくて歴史学者としてのきちんとした記述なので、歴史を正しく理解したうえで竹島問題を理解しようとする人には読み応えのある本だ。
竹島問題を扱った新書版の本では、下條正男氏の本があるが、下條氏は史料の恣意的解釈が多く、またしばしばその所説を変更するなど問題が多いことで知られる。(坂本悠一『社会システム研究』2014年9月参照)。池内氏による本書は、下條氏のような恣意的歴史解釈ではなくて、歴史学の手法に従った歴史解釈による竹島問題の解説なので、正しい理解を希望する人には有用な本である。
本書では、16世紀以降の竹島の歴史・江戸幕府による放棄、古地図の検討、日露戦争期の領土編入、サンフランシスコ条約の解釈、固有の領土とは何か、と竹島問題を理解するために必要な内容に一通り触れられている。