本の紹介-日本にとって沖縄とは何か2016年02月01日


新崎盛暉/著『日本にとって沖縄とは何か』(岩波新書)2016/1

 沖縄米軍基地と関連する沖縄の歴史 を解説し、本土の無関心のもとで、米軍基地が沖縄に押し付けられてきた実態を解明している。沖縄で時々盛り上がる反基地運動の経緯が詳しい。

 現在、沖縄の民意を無視する形で進められている辺野古新基地建設は、沖縄への米軍基地押しつけの一環であることが、本書により良く分かるが、このような状況を打破するためにはどうすればよいのか。本書を読んでも、この点は何も分からなかった。
 前回総選挙では、全員、反自民候補者が当選したが、自民候補者は比例区で復活当選を果たした。これは、要するに、僅差だったからで、沖縄で反基地の声が大きいからと言って、過半数をようやく超えた程度であって「しまぐるみ」には程遠い状況にあるのではないだろうか。

本の紹介―プーチンの実像2016年02月03日

 
朝日新聞国際報道部・他/著『プーチンの実像 証言で暴く「皇帝」の素顔』朝日新聞出版 (2015/10)
 
ソ連崩壊期、プーチンはドレスデンでKGBとして任務にあたっていた。本書は、その当時から現在にいたるまでの、プーチンについて、関係者の証言を元にまとめたもの。プーチンがどういう人なのかわかる本と言えるのだけれど、ソ連時代から新聞を読んできた人にとっては、特に目新しく感じた内容は少ない。

本の紹介-神聖ライカ帝国の秘密2016年02月04日


竹田正一郎・他/著『神聖ライカ帝国の秘密 王者たるカメラ100年の系譜』(2015/10)潮書房光人社

 カメラ評論家・翻訳家として有名だった故・竹田正一郎氏 最後の著書です。
 竹田正一郎氏はコンタックスの著書が多いため、「コンタックス好き」「ライカ嫌い」と評価されることもあった人ですが、本人はライカ好きだと言っていました。

 本書はバルナックの経歴から初めて、ライカカメラの歴史を説明したもの。最初は普通にライカカメラの話なのだけれど、そのうち、ライカが美しいことなど著者の美学になっている。このあたり、文章の脈絡が脱線気味で、著者の話を聞いているような気がします。

本の紹介-ソテツをみなおす2016年02月06日

 
安渓貴子・当山昌直・他/著 『ソテツをみなおす 奄美・沖縄の蘇鉄文化誌』 ボーダーインク (2015/03)
 
 日本の庭園などでよくみられるソテツ(学名:Cycas revolta)は沖縄・奄美に広く自生している。しかし、もともと自生していたものではなくて、17世紀ごろから琉球政府によって救荒作物として栽培が奨励・義務付けされたものだった。
 ソテツには毒があるためそのまま食すことはできない。水さらし・加熱・発酵やこれらの組み合わせで毒抜きする。本書では、沖縄奄美地域で、ソテツがどのように毒抜きされていたか、生活の中で、どのように利用されてきたかなど、これら地域の蘇鉄文化を詳述している。
 なお、最終章には資料として、ソテツ類を属ごとに概説している。

カワセミ2016年02月07日

 
東京都葛飾区水元公園に行ったらカワセミがいました。
以前は、めったに見ることができない鳥だったけれど、近年、全国各地でカワセミが増えているようです。
写真は、コンパクト望遠ズームで撮ったものをトリミングしています。レンズの性能が良くないので、何となくぼやけた写真です。

本の紹介-樺太・千島に夢をかける 岡本韋庵の生涯2016年02月08日

   
林啓介/著 『樺太・千島に夢をかける 岡本韋庵の生涯』 新人物往来社 (2001/06)
 
 岡本韋庵は、幕末に徳島の農家に生まれ、単独で樺太一周を成し遂げた。明治新政府の樺太開拓団の責任者となるも挫折した。本書は岡本韋庵の生涯を描くノンフィクション小説で、徳島新聞が郷土の偉人を称賛した連載記事に加筆修正したもの。この手の伝記の特徴として、主人公を称賛する立場での一面的な歴史解釈となり、客観的な歴史とは言い難い面があるので、注意が必要だ。史実に反した記述というわけではないが。
 
 いずれにしても、岡本韋庵の行為は、後の歴史に影響していないので、故郷の偉人をたたえるヨイショ本としての価値以外に、価値を見出せない。

北朝鮮の人工衛星2016年02月09日

 2月7日、北朝鮮は人工衛星を軌道に投入するためロケットを打ち上げた。人工衛星が宇宙空間に放出され、地球の周回軌道に乗っている模様だ。
 日本のマスコミでは「ミサイル発射」と言っているが、BBC,CNN等欧米のメディアでは「launch of a long-range rocket(長距離ロケット打ち上げ)」と、ロケットの用語を使っているものが多い。
  
 「ミサイル」と「衛星打上げロケット」はどのように違うのか。この点について、防衛省が解説している。
  
(解説)弾道ミサイルと人工衛星打上げロケットについて
 一般的に、弾道ミサイルは放物線を描いて飛翔し、目標地点に弾頭を誘導するが、衛星打上げロケットは、一定の高度にまで到達させた後、平坦な軌跡をとり、所要の速度(例えば、高度約200kmの地球周回軌道であれば、秒速約7.8kmであり、高度約700kmであれば秒速約7.5km)以上を与え人工衛星を地球周回軌道に投入するという飛翔形態の違いがある。
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2009/2009/html/lc121000.html
  
 防衛省の解説がインチキでないのならば、今回北朝鮮が打ち上げたものは「衛星打上げロケット」が適切だ。

本の紹介-内なるシベリア抑留体験2016年02月10日

 
多田茂治/著『内なるシベリア抑留体験』 社会思想社(1994/5)
 
 戦犯としてシベリア抑留(受刑)した3人の日本人「菅李治」「鹿野武一」「石原吉郎」に関するノンフィクション。シベリア抑留の一端と、帰国後の日本社会に受け入れられなかった帰国者の状況を垣間見ることができる。
 
 3人の抑留地での様子と帰国後の経緯が詳しい。特に、石原吉郎は帰国後、詩人として活躍したので、彼の帰国後の心情に立ち入った記述が本の後半を占める。
 菅李治はシベリア抑留中通訳として働いていたが、このとき、日本共産党委員長・徳田球一の要請を翻訳したことで、帰国後、国会で証言することとなった。この追及は、GHQのレッドパージと連動し、共産党を悪者に仕立て上げることが目的だったため、徳田球一に対して執拗に追及が行われたが、百戦錬磨の徳田は追及をすべて交わした。そこで、追及の矛先が菅李治に向けられた。この追及が原因で、菅李治は自殺した。
 鹿野武一は帰国後1年ほどたって、心臓麻痺で急死している。

島尻沖縄北方担当相・歯舞読めず「はぼ、なんだっけ」2016年02月11日

 島尻沖縄北方担当相が「歯舞」を読めなかったとのニュースがあります。担当大臣にしては、あまりにも情けない話です。
 でも、どうして「ハボマイ」と読むのか。知らなければ読めないよね。「ハブ」「ハマイ」なのに。
 
 歯舞諸島はかつては珸瑶瑁諸島でした。根室半島の一番東が珸瑶瑁村だったので珸瑶瑁諸島と言われていたものが、珸瑶瑁村が歯舞村と合併して歯舞村になったため、島の名前も歯舞諸島に改められました。その後、歯舞村は根室市と合併したので、島の名前も根室諸島に改めれば良いのに歯舞諸島のままです。
 
 ハボマイの語源は、アイヌ語で「流氷のあるところ」の意味だとネットにあるけれど、近年は流氷が来ない年も珍しくありません。

本-ケヴォングの嫁取り2016年02月12日

 
ウラジーミル・サンギ/著『ケヴォングの嫁取り』 群像社 (2015/11)
 
 サハリンの少数民族ニブフ(ギリヤーク)の物語。
 19世紀後半になると、ロシア資本主義の影響が辺境のサハリンにも及ぶようになってくる。こうした波に少数民族の人たちは翻弄される。本書は、ニブフの作家によるこの時代をテーマにした小説。
 
 小説はあまり好きでないので、これ以上、書くことはありません。

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