本の紹介-樺太・千島に夢をかける 岡本韋庵の生涯 ― 2016年02月08日

林啓介/著 『樺太・千島に夢をかける 岡本韋庵の生涯』 新人物往来社 (2001/06)
岡本韋庵は、幕末に徳島の農家に生まれ、単独で樺太一周を成し遂げた。明治新政府の樺太開拓団の責任者となるも挫折した。本書は岡本韋庵の生涯を描くノンフィクション小説で、徳島新聞が郷土の偉人を称賛した連載記事に加筆修正したもの。この手の伝記の特徴として、主人公を称賛する立場での一面的な歴史解釈となり、客観的な歴史とは言い難い面があるので、注意が必要だ。史実に反した記述というわけではないが。
いずれにしても、岡本韋庵の行為は、後の歴史に影響していないので、故郷の偉人をたたえるヨイショ本としての価値以外に、価値を見出せない。