本の紹介―日本会議をめぐる四つの対話2017年03月12日

    
菅野完/著・他『日本会議をめぐる四つの対話』ケイアンドケイプレス (2016/12)
  
 本書著者・菅野執筆の『日本会議の研究』は10万部を超える人気本として、日本会議の存在を世間に知らしめた。本書は、菅野と日本会議をよく知る4人との対談集。対談集のためテーマが今一つ絞り切れておらず、また、解説的内容も乏しいので、日本会議をよく知らない人にとって、本書は理解しにくいだろう。本書を読む前に『日本会議の研究』などの本を読んでおくべきだ。
  
 菅野の対談者は政治学者の白井聡、元国会議員の村上正邦、右翼活動家の横山孝平、ジャーナリストの魚住昭の4人で、各々が日本会議について詳しく、各自の立場で日本会議について語っている。
 元国会議員の村上正邦は新宗教・生長の家の活動家出身で、日本会議の事務を取り仕切っている者たちも生長の家活動家だったため、日本会議のルーツを知るうえで参考になる。
  
 ところで、最近世間を騒がせていた「森友学園」の籠池理事長も日本会議の関係者だ。
 テレビ放映される籠池理事長の話を聞いていると、彼は、質問には全く答えず自説を繰り返すだけで、まともにコミュニケーションが取れないようだ。それから、昨今の騒ぎは共産党と朝日新聞の謀略であるかのような被害妄想があるようにも感じる。
  
 本書の最後に、菅野による後書があって、その中で、菅野は日本会議の人たちに対して以下の見解を示している。これは、森友学園・籠池理事長の態度を言い当てているように思う。
  
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 産経新聞や『正論』、『WiLL』、『Hanada』を読んでみてください。彼らは単に左翼を批判し、リベラルに罵詈雑言を浴びせているだけです。本当にそれだけなんです。それは日本会議も同じです。
 これは大変不幸なことですが、日本会議だけでなく多くの人たちが、左翼を批判することは知的なことだと思っています。ネトウヨを見てください。彼らは非常に頭が悪いです。だけど、彼らは左翼を批判している時、自分たちが頭が良いと思い込んでいます。
 そういう意味では、日本会議は憲法だけでなく日本の知識人たちも潰そうとしているんです。ここで言う知識人とは、頭が良い人たちということではなく、筋道立てて物事を考えることができる人たちのことです。教育水準が高いということではなく、物事に対してしっかりとした態度をとることができる人たちのことです。日本会議の運動にこうした側面があることも見逃してはなりません。(P199)
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