本の紹介-沖縄戦戦没者を祀る慰霊の塔2017年05月14日

     
大田昌秀/著『沖縄戦戦没者を祀る慰霊の塔 』 那覇出版社 (1985/6)
           
沖縄県知事を務めた大田昌秀が琉球大学教授時代に執筆した著書。古い本で有名出版社ではないので、読む機会は少ないと思う。
     
 沖縄には、数百の慰霊塔が建てられているが、本書は、そのうちの主なもの百数十を取り上げて、各慰霊塔の写真を掲載し解説をしている。慰霊塔の解説は建立のいきさつなどを簡潔に書くにとどまる。ただし、いくつかの慰霊塔については、関連する話題を数ページにわたって解説するものもある。たとえば、久米島の痛恨の碑では、久米島虐殺事件の説明が書かれている。
     
 沖縄の慰霊塔を実際に見学すると、碑文が書かれたものも多い。碑文の文面には、戦争を賛美し国家に殉じることの意義を示すものも多い。本書の最初の20ページほどには、戦争賛美の碑文が書かれたいきさつなどにも触れられているが、個々の慰霊塔の碑文についてコメントはほとんどない。
 欲を言えば、各慰霊塔の碑文を掲載してほしかったし、碑文に対するコメントもほしかった。とは言え、慰霊碑の碑文に戦争賛美が多いのは、戦死を意味のある死と思いたい、遺族の心情もあるのだから、たとえ戦争賛美・戦意高揚を目的とするような碑文でも、直接的には批判はしずらいだろう。

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