本の紹介―トビニタイ文化からのアイヌ文化史2017年06月07日

    
大西秀之/著『トビニタイ文化からのアイヌ文化史』 同成社 (2009/03)
   
 ちょっと古いが、読み応えのある本だ。
   
 5から10数世紀ごろ、アムール河口域・樺太・千島・カムチャツカ・北海道北部・北海道北部のオホーツク海沿岸地域に、オホーツク文化が起こっている。この時期、北海道では擦文文化だった。オホーツクは突如として消滅するが、北海道東部ではオホーツク文化を引き継ぐ形でトビニタイ文化が起こった。この文化は、擦文文化とともに消滅して、北海道はアイヌ文化になった。
   
 本書は、トビニタイ文化の研究書。トビニタイ文化については、北海道古代史の中で数ページ触れられた本はあるが、1冊の本にまとめられたものは本書が唯一だろう。
 本書は、第1章でトビニタイ文化の研究の現状をまとめ、第2章ではトビニタイ土器と擦文土器の関係を考察し、トビニタイ文化の遺跡で発見される擦文土器の多くも模倣品であることを示す。また、トビニタイ文化の住居スタイルを考察し、トビニタイ文化の担い手はオホーツク文化の末裔であることを明らかにし、鉄器の輸入など擦文文化の交流を考察している。第3章では、トビニタイ文化の居住地など生業を考察する。トビニタイ文化の担い手たちは、サケ漁が主であったことを明らかにする。第4章では、トビニタイ文化が成立したいきさつとして、擦文文化との関連の他に、律令制の中での東北との関係についても考察している。
   
 本書は研究書なので、発掘などの事実と、それに基づく推察と示され、何が事実で何が推量なのであるかが明確に分離されていて、読んでいて混乱しない。
 事前知識がないと、読むのが難しい部分もあるが、多くは素人でも十分に理解できる記述になっている。トビニタイ文化の概要を結論だけ知りたい人には、詳しすぎる内容かもしれないが、じっくり理解したい人には、十分に読みごたえがあり、読んでいて、おもしろい。
   
 中世の地球高温期に栄えたオホーツク文化が寒冷化で滅んでゆく過程で、道東のオホーツク文化人たちは、生業を変え、擦文文化と交流することで、生き残りを図ったのだろう。最後は、擦文文化に吸収される形で消滅し、次のアイヌ文化の一部へと変容していった。それが、トビニタイ文化なのだろう。

本―片山通夫写真集2017年06月11日

   
『サハリン』未知谷 (2005/08)
『サハリン逍遥』群像社 (2017/03)
  
どちらの本も、サハリンやサハリン残留朝鮮人のモノクロ写真集。
これらの写真を見て何を感じ取るか。うーん。

本―古代の海洋民オホーツク人の世界2017年06月12日

     
天野哲也/著『 古代の海洋民オホーツク人の世界 アイヌ文化をさかのぼる 』雄山閣 (2008/11)
     
 礼文島などのオホーツク文化の遺跡調査結果の詳細が示されるなど、オホーツク文化研究には重要な書だと思うが、素人には専門的すぎる。遺跡の発掘調査に興味のある人には面白い本かもしれない。
 本のメインはオホーツク文化研究ではあるが、擦文文化の解説もある。

本の紹介―ドキュメント日本会議2017年06月13日

    
藤生明/著『ドキュメント日本会議 』筑摩書房 (2017/5)
   
 2016年4月に菅野完/著『日本会議の研究』が出版されて以来、日本会議解説本がいくつか出版された。出版も一段落したのかと思っていたら、菅野の本からおよそ一年後に、本書が出版された。
   
 本書は、朝日新聞の連載記事がもとになっているようだ。日本会議の出自から現在に至る活動を淡々と記述している。文章は読みやすい。もっとも、菅野の本など、読みやすい本が多いので、読みやすさは、同様な他書とさほど違わないかもしれない。菅野の本を読むと、日本会議にはどこかおどろおどろしいところが感じられるが、本書にはそのような感じはない。
 日本会議を過大評価する必要はないが、過小評価もよくない。本書では、過大評価も過小評価もなされずに、事実を淡々と描いている。この点は好感が持てるのだけれど、では、なぜ日本会議が影響力を持つに至ったのか、あるいは、そもそも影響力を持っているのか、その点が分からなかった。
   
 p99に臨教審専門委員を務めた高橋哲也について、「反共愛国を掲げて活動していた元生学連委員長」と書かれているが、高橋については、1ページ余りの記述だけ。

本―日露外交 北方領土とインテリジェンス2017年06月14日

 
佐藤優/著 『日露外交 北方領土とインテリジェンス』角川書店 (2017/5)
 
 特に関心を持った本ではないが、読んだことを忘れないために書き留めておきます。
     
 北方領土と日ロ関係を解説した佐藤優の近著。内容は、産経新聞のコラムにこれまで書いた記事の再編集。新聞コラム記事なので、一つのテーマのページ数が少なく、問題に深く立ち入ったものではない。各項目の関連性も乏しいため、北方領土問題や日ロ外交について、多少でも詳しく知りたいと思っている人には、読む価値は少ないだろう。

ホテイアツモリソウ2017年06月24日

2017年6月17日、入笠山のホテイアツモリソウを見学した。
ロープウエイ山頂駅下車すぐのところに、20株程度咲いていた。フェンスで、厳重に守られている雰囲気だが、盗掘で絶滅寸前に追いやられた植物だから、これも仕方ないのだろう。

キバナアツモリソウ2017年06月25日

2017年6月17日、入笠山のホテイアツモリソウを見学した。
キバナアツモリソウも咲いていたが、こちらは、見頃を過ぎていた。

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