本の紹介―共謀罪の何が問題か ― 2017年07月25日

高山佳奈子/著『共謀罪の何が問題か(岩波ブックレット)』 岩波書店 (2017/5)
刑法が専門の高山佳奈子・京都大学法科大学院教授による「テロ等準備罪」の問題点を指摘したブックレット。
2017年6月15日、自民党・公明党・維新は国会審議を打ち切って「テロ等準備罪」を強行採決した。これまで「共謀罪」の名称で国会提出するも、再三にわたって廃案になっていたものを、「テロ等準備罪」に名称変更したものだったが、国会審議の中で、金田法相がまともに内容説明できないなど、欠陥をさらけ出した法案だった。もっとも、答弁の問題は、金田法相の能力面も否定できない。
このように、法案の欠陥と法相の能力不足の中で、これ以上の審議すると、自民・公明党が国民の反感を買って、目前に控えた都議選に不利になるために、審議不十分なまま強行採決したものだった。しかし、この後行われた都議選で、自民党は歴史的敗北を喫し、安倍内閣支持率急落につながった。
本書は、刑法学者による「テロ等準備罪」の問題点を指摘したもの。本書のタイトルは「共謀罪」となっている。これは「テロ等準備罪」がテロ行為の準備を処罰する法律ではなくて、共謀を処罰する法律のため、法律の問題点をわかりやすくするためだろう。
「テロ等準備罪」は警察の運用によって、国民の人権を著しく阻害する恐れがあるけれど、実際にはどのような運用がなされるのかわからないので、具体的にどのような不利益があるのか、いまひとつはっきりしない。
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