展覧会ー琉球 美の宝庫2018年09月01日

東京六本木のサントリー美術館で開かれている展示会「琉球 美の宝庫」を見学しました。
着物や絵画が多かったけれど、それよりも圧巻は国宝に一括指定されている尚家の宝物。
「玉冠(付簪)」「赤地龍瑞雲嶮山文様繻珍唐衣裳」「紺地龍丸文様緞子唐衣裳」「石帯」と、名品が間近で見られました。
「赤地龍瑞雲嶮山文様繻珍唐衣裳」は5本爪の龍の刺繍で、蝦夷錦そっくりです。琉球と蝦夷が中国と交流があったことを物語っています。

それから、桐板(トンビャン)の着物がありました。

9月2日は終戦の日2018年09月02日

  
 今日9月2日はアジア太平洋戦争の終戦の日。アメリカでは「V J Day(日本に勝利した日)」と言います。
 昭和天皇・裕仁は8月14日にポツダム宣言受諾の用意アリとの詔書を渙発し、翌15日に国民向けラジオ放送がなされました。天皇と国民が戦争したわけではないので、国民向けラジオ放送が終戦にならないのは明らかですが、8月15日は月遅れ盆で死者を追悼するのに都合がよいため、日本では8月15日が戦争が終わった日であると誤解されています。
 もっとも、8月15日に玉音放送があると、日本軍は慌てて証拠書類を焼却し、将校らを昇進させました。これによって、日本軍の犯罪究明が遅れ、また、戦後の復興に使用する国民のための財産が軍人たちの退職金に消えることになりました。このように、軍部の犯罪の隠滅と、国民の金をかすめ取る時間稼ぎのために、8月15日を終戦の日とすることが便利だったのかもしれません。
 
 8月16日に靖国神社に行ったら、パル判事顕彰碑に松原仁衆議院議員の花輪が置かれていました。売名行為に見えて、下品に思えました。
 パル判事は東京裁判で被告人無罪を主張した人なので、右翼勢力は彼のことを「東京裁判判事の中で唯一の国際法の専門家」などと、おかしなことを言いますが、パルはヒンズー法哲学の専門家です。当時、インドはイギリスの植民地で、インドの外交権限が制限されていたため、インド判事が国際法裁判に独立して当たることは基本的にはありませんでした。

本の紹介ーシベリアの歴史2018年09月04日

     
加藤九祚/著『シベリアの歴史』(2018.5)紀伊国屋書店
    
1963年に出版された本の復刻新装版。
 
内容は旧石器時代からロシア革命までのシベリアの歴史。および、文献・先住民族の説明。
本の1/3が石器時代からロシア進出以前のシベリア。1/3がロシア人のシベリア進出。
また、ロシア革命期のシベリアの記述が10ページほどあり、その中には、日本のシベリア干渉戦争なども簡潔にまとめられている。
   
200ページほどの本なので、それほど詳しいわけではないが、ロシア革命までのシベリアの歴史が簡潔にまとめられており、この分野の教科書に適切。

本の紹介―日本人の戦争観2018年09月05日

   
吉田裕/著『日本人の戦争観  戦後史のなかの変容』(1995.7)岩波書店
  
 先の戦争に対する日本国内における評価を時代を追って解明することを目的とした本。ただし、本書は1995年の出版なので、これ以降はない。
 1995年は自民党・社会党などの連立内閣の村山内閣が成立した時代なので、内閣の戦争観も独特なものがあった。その後、自民党内閣、非自民内閣を経て、自民党安倍内閣になる。こうした中、ヘイトスピーチに代表される無知を原因とした日本無罪論が展開されるようになってゆくが、当然のことながらこの点に対する論考は本書にはない。
  
 本書は2005年に岩波現代文庫として再版された。

太地町イルカ漁を考える2018年09月12日

 2018年9月9日、新江ノ島水族館で、セーリングのワールドカップ大会の開会式が行われた。このなかで、新江ノ島水族館側はイルカショーを披露した。この件に関して、イルカ保護の考えを持つ外国人選手らから批判が起こっている。主催者によると「開会式の内容は事前にワールドセーリングの承認を受けなければならないが、実行委員会からの申し出はなかった」とのことだ。
 イルカ漁が国際的に非難され、世界動物園水族館協会(WAZA)が加盟水族館に対して、捕獲したイルカを購入しないようにと呼び掛けている中、新江ノ島水族館は太地町の捕獲イルカをショービジネスに使うため、WAZAの加盟団体であるJAZAを脱退した。
 今回、新江ノ島水族館が主催者に無断でイルカショーを強行したのは、今後も金儲けのために、捕獲イルカを使ってショービジネスを行う意思を示したかったのだろう。民度が低い国民で情けない。

プーチン提案は常識的だ2018年09月13日

 2018年9月12日、ウラジオストクで開催中の東方経済フォーラム全体会合で、プーチン大統領は、日本との領土問題・平和条約締結問題に関して、前提条件をつけずに平和条約を締結した後にすべての問題の議論を続けることを、安倍晋三首相に提案した。
   
 プーチンの提案は、日ロ間の交渉が、なかなか進展しないので、法と正義による解決を呼びかけたものだ。
 日本とソ連は1956年に「日ソ共同宣言(昭和31年12月12日・条約第20号)」を締結した。これは単なる首脳間の宣言ではなくて、批准承認した正式な条約だ。
 領土問題は第9条で定められている。日ソ共同宣言では、平和条約締結後に歯舞・色丹の引き渡しが行われると定められているので、領土問題の解決に先立って平和条約の締結がなされることは、両国が合意した国際法に基づく解決である。プーチンの提案は、日本に対して、正義と国際法に戻れと言いたかったのだろう。
   
(参考)日ソ共同宣言第9条
〔平和条約・領土〕日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。
ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

本―がいなもん2018年09月20日

  
川治和香/著『がいなもん 松浦武四郎一代』2018.6 小学館
   
松浦武四郎の伝記小説。晩年の武四郎が町娘に、過去の自分の探検談を聞かせるという体裁で物語が進む。話をしているときの描写と、探検談の描写が混在しているので、普通の伝記に比べて話が込み入っている。

本 - 愛国奴2018年09月21日

   
古谷経衡/著『愛国奴』 駒草出版 (2018/5)
   
 著者の自伝的なフィクションだそうなので、著者自身が体験した事実が多く含まれているのだろう。
 ネット右翼やヘイトスピーチなどの右翼の知識レベルが低いことと、商売として右翼をやっているとのことが示される。
 右翼話と無関係なエロ話も入っているが、小説として面白くなっているわけでもなく、不必要に感じる。ネット右翼の話も特に面白くなかった。

村山市・最上徳内記念館2018年09月29日


先日、山形県村山市の「あらきそば」で板そばを食べました。太くてかたいそばです。


村上は江戸時代に千島・樺太を探検した最上徳内の出身地なので、記念館があります。


最上徳内が出題した和算の問題がありました。




本の紹介ー初期仏教2018年09月30日

  
馬場紀寿/著『初期仏教 ブッダの思想をたどる 』岩波親書 (2018/8/22)
 
 久しぶりに初期仏教の本を読んだ。日本仏教の教説は後代に作られた大乗仏教の系統なので、釈迦の教えとは異なっている。本書は、大乗仏教成立以前の初期仏教の解説。
 
 初期の仏教については、中村元教授の著書が有名で、岩波文庫から何冊か出版されている。中村元教授は釈迦の教えとして残っているものの中で一番古いのは韻文形式のもので、散文形式の経はその後に成立したと考えた。このため、スッタニパータ、ダンマパダなどが最古層のもので、その後にアーガマ(阿含経)が成立したと説明した。
 
 本書は、最初に仏教が成立した歴史状況を説明した後、仏教経典成立の由来を示す。そして、中村元教授の説を批判して、現実に成立したもっとも古い経典である阿含経の思想である四聖諦と十二支縁起を中心に初期仏教思想を説明している。

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