本の紹介ー神社本庁2018年11月26日

   
藤生明/著『徹底検証 神社本庁 (ちくま新書)』筑摩書房 (2018/10)
  
 『神社本庁』は全国の神社を束ねる包括宗教法人で右翼的政治団体『日本会議』生みの親の一つ。
 2017年末、富岡八幡宮で前宮司が現宮司を刺殺し、自ら自殺するという凶悪事件が発生した。富岡八幡宮は神社本庁傘下の神社だったが、現宮司の就任を拒絶していたため、富岡八幡宮は神社本庁を離脱して、宮司を就任させたものだった。この事件は、神社本庁が宮司の就任を拒否していた事と何らかの関係が推察される。
 本書では、最初にこの事件を取り上げている。
 殺人者の前宮司は東京都の若手神職の団体である東京都神道青年会会長として活動していた。全国各地の平和祈念館の展示にいちゃもんをつけて、日本の戦争加害展示をなくし、戦争賛美の展示にする活動の中心を担ったのが殺人者の前宮司だった。彼は、日本会議の活動も積極的に行っていた。神社本庁は神社を統括する団体として、時代錯誤的な右翼的活動の中心勢力となっている。
 本書では、神社本庁の誕生のいきさつから現状まで幅広く取り上げている。神社本庁と日本会議の関係や「元号法制化」「建国記念の日制定」「女性天皇反対」運動なども詳しい。
 近年、日光東照宮などの有力神社が神社本庁を離脱した。このような神社本庁の問題点にも触れられている。
 本書は、神社本庁の解説書だが、日本会議の生みの親の一つなので、日本会議の解説としても有用。

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