本の紹介‐霊・因縁・たたり2018年11月28日

 
柿田睦夫/著『霊・因縁・たたり―これでもあなたは信じるか』かもがわ出版 (1995/11)
 
 第一章では霊能詐欺の実態が説明されている。
 最初に真言宗醍醐派本覚寺の霊能詐欺の実態を説明する。ここは、1992年ごろから詐欺被害の訴えが急増して、民事訴訟が多発していた。本書が執筆された後に本覚寺(明覚寺)の主だった者が詐欺で逮捕され有罪が確定している。
 次に、阿含宗の霊視鑑定を説明する。ここは、霊能詐欺の草分け的存在で、真言宗醍醐寺の修法をまねているような面があるので、本覚寺の霊能詐欺事件を理解するためにも、知っておく必要があるだろう。
 さらに統一教会の霊感商法を取り上げている。長期にわたって詐欺被害が広がり、大きな社会問題になったところだ。統一教会は一応キリスト教系であるが、詐欺は仏教寺院のような名前で行われることもあった。
 最近「怒涛の英語塾」で広告を出しているコスモメイトの除霊詐欺についても10ページにわたる説明がある。
 
 第二章は主に真言宗醍醐派本覚寺における、霊能者育成方法の説明である。本覚寺では詐欺師を育成するマニュアルが流出し、これが首謀者に懲役刑が下った証拠の一つとして採用されている。
    
 第三章は詐欺師たちが使う「霊障」「祟り」について。第1節は細木数子のお墓の祟りのはなし。
 第2節は水子の祟りのはなし。新興宗教では水子の祟りを言うところが多い。このほかに、埼玉県秩父市の地蔵寺は元右翼の大物が作った水子供養寺で、この寺が水子供養事業の仕掛人の一つだそうだ。1970年ごろになると、戦中戦後の混乱期に子供を産めなかった女性に更年期障害が現れて、健康不安が起こるようになってくる。ここを狙って、水子の祟りであると脅しをかけて、供養料をだまし取る手口が横行した。このため、水子の祟りは1970年ごろから盛んに言われるようになった。埼玉県秩父市の地蔵時も1971年の建立されている。
 第3節で既存仏教教団の多くが「霊障」「祟り」など存在しないとしていることを説明する。新興宗教や右翼の金もうけに騙されないでほしいものだ。
 
 第四章は「なぜ信じ、囚われるか」。
 
 巻末に、本文で触れなかった、真如苑のような霊能・霊障を教えの基本に置く主な新興宗教の一覧を掲げている。

* * * * * *

<< 2018/11 >>
01 02 03
04 05 06 07 08 09 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

RSS