本の紹介―揺れ動く大地 プレートと北海道 ― 2018年12月27日
木村学・他/著『揺れ動く大地 プレートと北海道』北海道新聞社 (2018/8)
高校1年の時、地学の教師に薦められて、上田誠也/著『新しい地球観』を読んだ。プレートテクトニクスの一般向け解説書の最初の本だっただろう。
大学に入って、地球物理学の講義で地磁気の原因やプレートが動く原因などの話を聞いた。この講義の中で、日本はどこにいても地震が起こるが、しいて言えば日高の山奥は地震が少ないとの話があった。北海道と本州とではプレートが異なるとの話だったが、それが地震の発生とどのような関係があるのかは講義になかった。
本書は、プレートテクトニクス論に従って北海道・オホーツク海・日本海などの地形が作られたメカニズムを解説するもの。本書は縦書きであり、一般向けの教養書として書かれているようだ。実際、地学の話題だけではなく、若干脱線した記述も見られる。ただし、このような記述で分かりやすくなっているかと言えばそうでもなく、かえって話が冗長になっている気がする。普通の理系の啓蒙書のように、横書きで、地学の内容のみにした方がかえって読みやすかったと思う。
本書は、地学の本なのである程度の予備知識がないと難しいだろう。もっとも、第2章にプレートテクトニクスの概要の解説があるので、予備知識なしに読むことが可能になってはいる。第3章以降、種々の観測データをもとにして、北海道の成因や周辺の海域の成因など、詳しく解説している。ただし、確定した定説がなくて議論のさなかの話題も多いので、その点にも触れられている。