本の紹介ーカルト宗教事件の深層 ― 2019年01月07日

藤田庄市/著『カルト宗教事件の深層: 「スピリチュアル・アビュース」の論理』春秋社 (2017/5)
本の半分はオウム真理教事件の説明。麻原の指示で弟子たちが凶悪犯罪を行ってゆく様子が描かれているが、麻原が凶悪犯罪を指示したいきさつや、弟子たちが簡単に実行してしまった状況は、いまひとつわからなかった。いくら、新興宗教の教祖だとしても、代ゼミ落ちこぼれのおっさんの殺人指示を、まともに大学出た青年が疑問なく実行するものなのだろうか。
残りの半分は、霊感商法の統一教会と、それ以外の新興宗教事件についての解説。
統一教会は悪質霊感商法で社会から大きな批判を受けると、名称を「家庭連合」に変更して、目先を変えようとしたが、名称変更はなかなか認められなかった。安倍内閣が成立すると、ようやく名称変更が認められた。安倍首相は統一教会の合同結婚式に祝電を送っていることからも、統一教会に好意的な政治家だ。ともあれ、改名が認められたので、事情を知らない人が騙されないか心配である。
オウム真理教と統一教会以外は以下のカルトが取り上げられている。
・1995年7月、福島県須賀川市の女性祈祷師宅6人変死体事件
・2012年秋、青森市の首輪監禁惨殺死体事件
・2005年7月、岐阜県恵那市の真光元による糖尿病患者少女治療拒否致死事件
・2012年横浜地裁で判決があった「神世界」詐欺事件
・2010年1月、歌手Toshiが脱会した自己啓発セミナー事件
・2010年9月、ロマゾフィーによる霊能詐欺事件
・幸運乃光成龍寺(千葉県袖ケ浦市)詐欺商法
・カルト化するキリスト教
このなかの、幸運乃光成龍寺は出家詐欺で有名な円満院・三浦道明のもとで出家したと称する、元・豊田商事営業マンによる詐欺商法。
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