北方領土問題2019年01月23日

 安倍・プーチン会談が開かれ、北方領土問題の解決が現実味を帯びてきました。日本では、いろいろ言う人があるけれど、北方領土問題の解決は、1956年の日ソ共同宣言に従う以外にま無理でしょう。日ソ共同宣言とは日本とソ連で締結された条約です。この中に、以下の条項があるので、これに従った解決がなされると考えられます。

 日ソ共同宣言
 9 〔平和条約・領土〕日本国及びソヴィエト社会主義共和国連邦は、両国間に正常な外交関係が回復された後、平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意する。
 ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。

 この条項の後段が北方領土問題解決の手法です。よく読めば明らかですが、両国間で平和条約を締結し、そののち歯舞・色丹が日本に引き渡されます。
 平和条約の締結で両国間の国境が画定されます。平和条約締結の時には、2島は引き渡されていないのだから、国境を画定するときは北方領土がすべてロシアの領土であることに両国は合意する必要があります。『ロシアの領土であることに両国が合意した後、ロシアは日本の利益を考慮して2島を日本に引き渡す』これが日ソ共同宣言に従った解決です。

 では、2島の何が引き渡されるのか。この点について日ソ共同宣言では決められていません。1972年の沖縄返還協定では次のように決められました。
 ・行政権、司法権、立法権が日本に引き渡される。
 ・米軍基地はそのまま米軍基地として使用する。
 ・個人の持つ土地の所有権などには変更ない。

 ロシア軍基地がそのままでは日本は受け入れられないけれど、ロシア軍基地を完全に追い出すことができたら日本としては上出来です。
 日本の中には所有権は日本人の物になるかのように思っている人もいるだろうけれど、それは無理でしょう。日本政府の所有物とするには日本政府が買い取る必要があります。日本の個人が持っている島を日本政府が買い取ることが時々ありますが、北方2島についても、買い取るとしたら同程度の金額になるでしょう。最近、種子島の横にある馬毛島を日本政府は日本人から160億円で買い取ることが決まったそうです。面積当たりの単価が同じとすると、北方2島の土地だけで6900億円になります。これに、インフラの価値が加わります。

 以上考えると、次の条件で2島返還がなされたら、安倍内閣としては上出来です。
 ・歯舞・色丹、2島の行政権・司法権・立法権が日本に引き渡される。
 ・2島からロシア軍基地をなくす。米軍基地を置かないことを何らかの形で約束する。
 ・土地の所有権の買取価格として、日本はロシアに数千億円~1兆円規模の金額を支払い、2島の所有権者は日本政府となる。 
 ・歯舞・色丹は日本の領土、クナシリ・エトロフはロシアの領土であることに両国は合意する。



北方領土問題の解説は以下をご覧ください
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/index.htm
やさしい北方領土問題の解説は以下をご覧ください
http://www.ne.jp/asahi/cccp/camera/HoppouRyoudo/Yasashii.htm

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