本の紹介―「明治礼賛」の正体2019年01月24日

    
斎藤貴男/著『「明治礼賛」の正体 (岩波ブックレット)』岩波書店 (2018/9)
   
安倍内閣による明治礼賛に対する批判。
   
 あまり勉強ができなかった人は、複雑な歴史を理解することは不可能だから、こういう人はナイーブな地元礼賛に陥りがちである。明治は長州版が中心になって作ったので、山口出身の安倍総理は明治礼賛に陥っている。
 頭の悪い個人が、何を礼賛しても、そんなことは勝手であるが、一国の総理大臣が内閣上げて明治礼賛とは困ったものだ。
   
 明治は鎖国の江戸時代を開国し、国家の発展の礎を築いたので、その点評価する人は多いだろう。しかし、海外へ侵略に打って出て、その挙句がアジア太平洋戦争の敗北につながった。このように考えると、明治時代に、光と影があるのは当たり前のことだ。それに、現在の日本は鎖国で遅れた国ではないので、いまさら、特に明治だけを取り上げて学ぶ必要はない。

 明治礼賛は安倍の発案ではなくて、司馬遼太郎のいわゆる司馬史観にもみられる。本書によると、司馬は、井上馨の汚職が騒がれたくらいで明治には汚職はほとんどなかったと書いているが、山城屋和助事件・日糖事件・尾去沢銅山事件・1881年の開拓使官有物払下げ事件など、明治時代は薩長の役人を中心とした汚職が多数あったと具体的に指摘している。(P46~p50)

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