建国記念日の由来・・・数学ができないくせに知ったかぶりする人2019年02月05日

 建国記念日が2月11日と定められているのは、戦前はこの日が「紀元節」だったためです。2月11日が紀元節と定められたのは、数学ができないくせに知ったかぶりをしたおバカさんの浅慮が原因でしょう。
    
 日本書紀に「辛酉年春正月庚辰朔 天皇即帝位於橿原宮」とあるので、神話では、神武天皇の即位は「辛酉の年の正月」「庚辰の日」「朔日(新月)」になる。日本書紀で、神武天皇の即位を「辛酉年」としているのは、中国で辛酉年に革命がおこるとの説があったためであり、史実と考えるには無理がある。

 年には干支が付けられていて、2019年は「己亥」に該当し、60年で元に戻る。紀元前660年は2041年と同じ「辛酉」になる。
 日にも同じく干支が付けられていて、これも60日で元に戻る。2019年2月12日は「庚辰」に当たるが、これよりも978120日前も同じく「庚辰」である。2019年2月12日の978120日前は、ユリウス暦で紀元前660年2月18日、グレゴリオ暦で紀元前660年2月11日になる。
 2019年2月5日は新月で、グレゴリオ暦で紀元前660年2月11日からは978113日後に相当する。新月から次の新月までの周期は29.53059日なので、紀元前660年2月11日も新月で、この間、新月を33122回繰り返したことがわかる。    
 このため、明治6年、グレゴリオ暦の紀元前660年2月11日が神武天皇が即位した日であるとして、この日を紀元節と定めた。
 
 なお、辛酉年で立春ごろの庚辰日が新月の日は、西暦121年2月4日、西暦421年1月20日、1501年2月28日、2581年2月5日がある。ただし、西暦421年1月20日が厳密に新月かどうかはちょっと微妙。
 また、辛酉年でなくても良いとすると、20世紀以降で立春のころの新月が庚辰日になるのは、1904/2/16、2023/1/22、2028/2/25などがある。
  
 このように、計算の遊びとして、神話における神武天皇即位の日付を紀元前660年2月11日と特定することは可能だ。こういう遊びが好きな人には興味が持てるかもしれないが、真実の解明にはならない。歴史学の常識では、大和朝廷成立は3~4世紀ごろなので、神武天皇の即位が紀元前660年2月11日とすることは、史実を無視したデタラメと言うほかない。
 
 歴史の記述に限らず、物理の計測でも、一定の誤差が入るのは当然のことだ。条件に多少の誤差があっても、結論に大きな違いがないときは問題ないが、条件の誤差が結果に拡大されるような手法をとってはならない。
 日本書紀では「辛酉の年の正月」「庚辰の日」「朔日(新月)」とあるが、「庚辰の日」が1日前の「己卯の日」だとしたら、神武天皇の即位日は紀元前330年1月28日になる。このように、日本書紀の記述から即位日を推定する方法は、一日の違いが330年の違いになり、誤差が大きく拡大する手法であることがわかる。
  
 では、誤差が拡大しない手法と、誤差が拡大する手法にはどのような違いがあるのだろうか。一例として、以下の問題を考えてみよう。
  
問1 次の連立方程式を解け
  
(1) 23x-45y=0
   x-2y=1
  
(2)  23x-47y=0
   x-2y=1
  
問2 次の連立方程式を解け(解が整数でないときは四捨五入して小数点以下2桁まで求めること)
  
(1) 23x-45y=0
   2x-y=1
  
(2) 23x-47y=0
   2x-y=1
  
問3 問2の(1)(2)の解の大きさはあまり違いがないのに、問1の(1)(2)の解が大きく異なる理由を示せ。
  
  
解答:
問1(1) x=-45,y=-23
問1(2) x=47,y=23
問2(1) x=0.67,y=0.34
問2(2) x=0.66,y=0.32
問3の解答例
 問1(1)の2つの一次式をグラフに書くと、平行に近い直線になる。平行に近い2つの直線は、傾きが少し違うと、交点の位置は大きく異なる。このため、問1では(1)(2)の解が大きく異なった。
 これに対して、問2の(1)(2)の2つの一次式をグラフに書くと、平行からは遠い。このため、傾きが多少異なっても、交点の位置の違いは少ない。このため、問2では(1)(2)の解はあまり異ならない。
  
  
 数学が苦手な生徒諸君は、試験前に公式を覚えて、公式に数値をぶち込んで解答を出すことが数学のすべてだろう。日本書紀の記述から神武天皇即位が紀元前660年2月11日とした計算も、誤差が拡大するかどうかの考慮無しに、単に暦と月の周期を当てはめたに過ぎない。数学ができないくせに知ったかぶりをする者が陥りやすい落とし穴だ。
   
   
 今日、2月5日は旧正月。

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