本の紹介―極秘公文書と慰安婦強制連行2019年03月24日

     
今田真人/著『極秘公文書と慰安婦強制連行 (外交史料館等からの発見資料) 』三一書房 (2018/2)
   
 日本軍が韓国人従軍慰安婦を集めて慰安所を作っていたことは事実だ。本書は、そのような事実と慰安婦を集めていたことを日本の公文書をもとに明らかにしている。日本の右翼勢力は「慰安婦強制連行」の事実を否定しているが、これは、日本の警察や日本軍人が直接に暴力をふるうなどして、自ら慰安婦を集めた事実があった証拠がないというものだ。本書においても、日本人警察官や日本軍人が直接朝鮮人女性を強制連行した事実があったことを証明したものではない。
 一般に犯罪の教唆は正犯とみなすので、そういう意味で、慰安婦強制連行が日本軍や日本政府の明確な犯罪であることは間違いない。しかし、オウム真理教の犯罪では首謀者の松本智津夫は、最初、弟子が勝手にやったかのような言い逃れをしていたことからもわかるように、自分が直接手を下していなければ言い逃れできると思う人もいるだろう。このため、日本人の中の貧困な精神の持ち主や、右翼勢力、総理大臣などが、日本による慰安婦強制連行がなかったかのような考えを持ってもおかしくはないし、このような考えに対して、本書の記述が何らかの反論になっているとは思えない。

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