本の紹介ー華厳の思想2019年12月03日

 
鎌田茂雄/著『華厳の思想』講談社学術文庫(1988.5)
 
1983年に講談社から出版された本の文庫化。
この本は、10年以上前に購入し、読まずに書棚にあったものを、最近読みました。華厳とは華厳経あるいは華厳経を所依の経典とする華厳宗のこと。奈良・東大寺が華厳宗です。
 
 日本では、華厳宗は流行っていないけれど、韓国では結構メジャーなようです。中国では、華厳経を基に作られた円覚経という偽経が重視され、華厳経はあまり顧みられないようです。
 本書は、最初に、「日本仏教における華厳経の位置」を示した後、「華厳経の構成などを主体とした華厳経の説明」、「中国における華厳宗の成立」、「主に日本における華厳思想あるいは日本文化の中での華厳思想」、「韓国や日本での華厳経の発展」、について書かれている。
 華厳経の思想解説は少なく、日本文化と華厳経思想の関係や、日本の仏教者による華厳経理解などが中心になっている。また、最後の「日本での華厳経の発展」では明恵上人と華厳経の関連が詳しい。しかし、今では高山寺は華厳宗ではないので、明恵が好きな人以外には、どれだけ必要な知識だろうか。
 
 日本文化の中で華厳の位置を知るには、それなりの内容ではあるが、華厳経の思想自体の理解には、本書だけでは、遠く及ばないように感じる。

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